こたつの上で踊る蜜柑人形

豪州パースでは朝晩冷えることが多くなり、店先にも蜜柑が出回るようになりました。
「マンダリン」と呼ばれる蜜柑が、黄金色の輝きを見せて冬の訪れをひとびとに知らせるのは日本と同じです。

さっそく買ってきた蜜柑のひとふさを口に含むと、爽やかな香りと甘い汁がたっぷりと広がります。蜜柑は昔から好きなもののひとつですが、今回のそれは房も大きくどっしりと汁が詰まっていて、大きな種がたくさん入っているのも気になりません。
しかし残りの蜜柑をよく見ると、買い物袋の中で何かに押されたのか、底の部分の皮が少々破れているものがあります。
何の気なしにそこに人差し指で触れたときに、ああ祖母がこうして人形劇をしてくれたな、と思い出しました。

祖母が亡くなったのはわたしが6歳のときですから、彼女を覚えているのは長女であるわたしだけ、妹と弟はほとんど記憶がないと言います。
母が食事の支度をしている間、祖母はこたつの中に入り、よく3人の孫の面倒を見ていました。そしてこたつの上にある冬の蜜柑を手に取り、ひとつひとつに色々な顔を描いてから蜜柑を人差し指に突き刺して頭のように見せかけるのです。両手を使って巧みに猿や犬、そして太ったオジサンなどに芸をさせる祖母に、幼いわたしたちは手を叩いて喜びました。

「おばあちゃん、もうすぐゴハンだから蜜柑を食べさせるのはあとね」という台所所の母の声を聞きながら、わたしたちはよくどの蜜柑が自分のものか争ったものです。そして最後には、泣き出した弟に一番よく描けている「おさるさん」を譲るのはわたしでした。
大昔を思い出して楽しくなり、愛猫の鼻先で蜜柑人形を踊らせてみたら、柑橘類のダイキライな彼女はびっくりして逃げていってしまいました。

(初出:メルマガ「AVANCE!」 No. 127, 16/05/2004)

 

ポークステーキに玉ねぎとりんごのソース

ちょっと寒気がする。そしてお決まりのごとくいやーな予感。わたしは風邪を引きやすい体質なのだ。このところ朝晩寒い日が続いているからかもしれない。

こういうときは、ささっと食べて早く寝るに限る。明日は12年生のスピーキング試験で試験官をしなければならないし。

脂身の少ない豚もも肉の小さなステーキを焼き、玉ねぎとりんごをじっくり煮込んだソースをたっぷりかける。これにルッコラのサラダを添えただけ。りんごと豚肉は実によく合うのだ。さっぱりしていて、豚肉の臭みも気にならない。それに玉ねぎは風邪に効くっていうじゃないか。

困ったときには藁ならぬ玉ねぎにもすがる思い。

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ベトナム風冷やしビーフン

土曜日朝のショッピングのあと、ベトナム食品店に寄ってアジア野菜をシコタマ買ってきた。それを使って少々遅くなってしまったランチを作る。

ベトナム風冷やしビーフンは日本の冷やしナントヤラと同じで様々な具をのせるが、レストランで見た甘辛ソーセイジは自分で作ってみた。豚の挽肉をナンプラー、ショウガ、砂糖で味付けして、グリルで焼いたものだ。これに刻んだネギ、ミントの葉、香菜、もやしをたっぷり添える。

かけ汁は、生春巻きでもおなじみの「ヌックチャム」だ。ナンプラー、チリ、にんにく、水、砂糖を沸騰させて、そこに中華風赤酢とショウガを加える。
実は、見よう見まねで作ったこの冷やしビーフンは、近くのベトナム料理屋でかなり安く食べられる。それなのに何故わざわざウチで作ったのかというと、引越しのためにキッチンの整理を始めたからだ。
片付け始めたら、思いのほか沢山の乾物類があるのがわかった。冷凍庫もぱんぱんである。こんなに沢山のものをまたもや運び出すくらいだったら、食べちまえということに。

しかし、あと3週間乾物と冷凍庫の残りに野菜を継ぎ足して過ごすわけか。これもちょっとツライなあ。