マーガレット・リバーへ:1日目のランチとホテル

私立校には「学期中間休み」というものがある。元々は寮のある学校の生徒たちが自宅に戻るための短期休暇だったが、今では寮のない学校でも休みを入れるようになった。生徒たちは金曜日と月曜日が休みで4日連休だが、いつもは教師たちは1日スタッフ・デイでセミナーやらミーティングやらでつぶれる。が、今年から1年に1度だけは教師も4日間休めることに。バンザイ。

このまま家でゴロゴロしていてもいいのだが、家にいればゼッタイに学校の仕事もしてしまうのは目に見えている。そういうものを全部放り出して「休暇」をとろう。実は、わたしは「移動」は沢山しているが、「休暇」という「日常から離れてゆっくり」という日々を送ったことが最近ほとんどないのだった。

ということで、マーガレット・リバーへ。
まだパースに住み始める前に1度行ったことがあるきりなので、15年ぶりだ。

ひたすら高速を南下して200km、ランチのためCapel Vale (ケーペルヴェール)ワイナリーに寄った。西オーストラリアの比較的涼しい地方の各地にワイン畑を開発したパイオニア的存在で、最近レストランのほうではワインの種類にマッチしたメニューを供するようになり、評判になっている。カウンターで試したリースリングがとても美味しかったので、リースリングマッチを注文。

20150529_2

20150529_3

メニューは、生牡蠣、レモン皮を練り込んだフムス・ディップ、フェンネルとレモンの皮でマリネした海老の串焼き、スモークサーモンとクレームフレッシュのオムレツ、ペッパーベリーとフェンネルシード入りのハーブデュッカ、オリーブオイル、自家製パン、ヴァンランセ風ヤギのソフトチーズに洋梨とイチジクのペースト、ローズマリーのクリスプスティック、レモネードとローズマリーのケーキ。

「上からひとつずつ順番にお試しください」と書かれているので、ひとくち飲んでは食べてその通りにしたら…いやはや、何とも美味しいこと。

結局、この市販されていない西オーストラリア・マウントバーカー産の2011年リースリングを6本と、どうしても家でも食べたくなった自家製ハーブデュッカを購入。

29052015_7

その後ドライブを続行、70kmほど走ったところでマーガレット・リバーに着いた。全部で270キロ。あまりにも広い西オーストラリアでは、このぐらい走らないと「近くの」リゾート地には行けない。

予約しておいたホテルは、たった1本しか大通りのないマーガレット・リバーで百年以上たった建物を使っている老舗。イタリア料理店が隣接されているが、ホテル共々同じ家族の所有らしい。さて中に入ってみたら…ステキに古くてなんとも言えない怪しげな雰囲気。要するに、オバケが出そうな部屋なのだ。

2015-05-29

古い木の香りとどこを踏んでもギシギシと音がする床。レストランやパブの並ぶ(何度も言うが)「ひとつしかない大通り」のはずれにあるので、夜になるといきなりしーんと音もしない。他の部屋はかなり離れていて、何だかひとの気配さえない。怖いよう。

2015-05-29_2

おまけに「寒かったらご自由にお使いください」と言われた、この薪をくべる方式のとんでもなく古いストーブ。薪なんかどうやって火をつけたらいいのか、見当もつかない。幸運なことに電気ストーブも置いてあったので、そちらのほうにパチンとスイッチを入れた。

ディナーは以前から行ってみたいと思っていたレストランがあったので、パースから1日前に電話予約をしようとしたが、なんと満席。どんなに時間をずらせようが全く入れない状態。もっと早く連絡しておけばよかったなあ、と悔やんでみても後の祭り。
ホテルのソファに座って、大通りのどこかのレストランにもぐりこもうとiPhoneでレストランリストを眺めていたら、突然電話がかかってきた。(続く)

 

鶏のレモンバジル・ロースト

アルバニーから五十キロほど北に行くと、マウント・バーカーという小さな町がある。何の変哲もない田舎の町だが、この町の一角で育てられた「放し飼いの鶏」は名古屋コーチンのように全国的に有名だ。身はしまっていて美味しく、ブロイラーにありがちな臭みもない。普通の鶏肉に比べるとかなり高いが、スーパーでも手にはいる。

今日は、オーストラリアン・ディ(豪州建国記念日)で祝日なのでほとんどの店が閉まっている。昨日のうちに、鶏を一匹買っておいてよかった。
ここ二日ほど外食で揚げ物が多かったせいか、今晩はこれを使って裏庭でバーベキューだ。近くの農家で、ズッキーニ、ゴールデン・キャロット(金色のニンジン、味はフツウのものと同じ)そして皮付きのトウモロコシも仕入れてきた。

朝ハイキングに出かける前に、一応鶏肉だけは下ごしらえをして置く。丸のままの鶏肉を開き、レモン汁、オリーブオイル、塩、コショウ、にんにく、バジリコのみじん切りを混ぜ合わせ、このマリネ液に鶏肉をドブン。ラップして冷蔵庫へ。
清々しい森の散策のあと、近くのパブで白ワインを二杯ほどひっかけて帰ってきたのが、五時。

トウモロコシの皮を芯から離さないように剥き、毛をむしり取る。そのまま水をはったボウルにつけること一時間。皮を戻してから、バーベキューの上で蒸し焼きにする。水を含ませたのは、こうしたほうが焦げないからだ。
鶏の「大股開き」はきれいにマリネ液をすっているから、そのままバーベキューに乗せて蓋をし、1時間半ほど。鶏肉が焼きあがるころに、他の野菜を乗せてこれまたじゅうじゅうと焼くだけ。

サラダには、ハイキングに行ったときに摘んできたナスターシアムの花弁を添える。ナスターシアムは、鮮やかなオレンジ色をしていて、ちょいとピリリと舌に快い。生食できる花だが、そこら辺に雑草のごとく生えている。
さて。
アルバニーの隣デンマーク市のワイナリー、West Cape Howeのシャルドネを何本か合わせて、今宵の晩餐の始まり、始まり。

 

寒くなったり暑くなったり、三国横断

十六日に寒い東京から暑いバンコクに戻り、二十二日にその暑いバンコクからさらに暑い三十六度のパースに戻り、さらに二十四日からは十二度のアルバニーに来ている。あまりの環境の変化に、体温の調節までおかしくなりそうだ。

アルバニーはパースから南へ四百キロ、南極海に面する港町だ。美しい景色と様々なレジャーを求めて、たくさんの観光客が訪れるリゾートでもある。
一応六日ほどの予定で訪れたが、雨が降ったらここら辺は寒い。どうやら、一週間ほど北オーストラリアにとどまっていたサイクロン嵐の影響らしい。(注:オーストラリアは南極に近いので南にいけばいくほど寒く、北はもちろん熱帯気候になる)

着いたばかりの昨日はまだ灰色の雲がかかっているだけだったが、今朝から窓を激しく打つ雨になってしまった。寒い。長袖のセーターとジャケットを持ってきてよかった。
せっかく国立公園にハイキングにでも行くつもりだったのに、この天気では無理だ。予定変更して、荒れる海を見ながら、エミュー港で「フィッシュ・アンド・チップス」を食べる。ぎょっとするほどの量だが、かりかりと揚がったフライドポテトが美味しい。

バタバタという羽ばたきに空を見上げたら、ペリカンが街灯(というより「港灯」だ)にとまろうと苦心中だ。大量の糞で汚されないようにと、彼らがとまり易い電灯にはペリカンよけの棒が何本も張り出している。大きなクチバシを斜めにし、細い柱の上で危なっかしくすべりながらやっと重心をとった。ゴクロウサン。