バンコクのオフィスで

バンコクのオフィスがあるビジネスビルはどうヒイキメに見てもトレンディなんてものではない。
1階の踊り場にはデカい仏壇や夜のみ開くカラオケバーまで あって、何とも場末の雰囲気。最近までは某トイレブランドが一階の半分を占めていて、「トイレブランドがあるビル」と言うと、タクシーの運転手が了解して くれるほどだった。現在では、数カ月間も5つぐらいの商品しか置いていない奇妙な電灯製品の店になったが。

しかし、17階のオフィスからの景色だけは素晴らしい。バンコク一望で自宅アパートまで見える。大きな懐中電灯で「ゴハンデキタ、ハヤクカエレ」とモールス信号が送れるくらいだ(いや、やらないけどね)。

バンコクはいまだコンドミニアム建設ラッシュが続いていて、自宅のある地区は毎回帰国のたびに新しい建設が始まっている。面白いのは、そうした高級コンドミニアムが、すでに完成しているといるにもかかわらず、住人を見ないということだ。つまり、誰も住んでいない。
こうしたコンドミニアムの類は、資産家が「現金で」買うものというのが大方のバンコク人の考えだ。この「現金で」がミソで、つまりそれは「銀行」または「公の手続き」を経ずに取得した金だ。こうした現金は持っていても足がつくので不動産投資に回る「らしい」。
この間も、副運輸大臣が泥棒に入られたせいで、邸宅の地下にある何十億という「現金」の所在が「不幸なことに」公になってしまった。

または、数千万円の新築コンドミニアムを15万円ほどの手付金を払って、「まだ建設さえ始まっていない時期」に予約する。完成したアカツキに倍以上の値段で転売するためだ。この自転車操業で、売れないコンドミニアムを抱えて自己破産するひとも多いわけだが、それは金を貸す銀行には関係ない「らしい」。
それでも不動産フェアが毎月どこかで開かれているが、そうしたフェアに行って新築物件を「10戸」ほど選んで買うのが趣味、と公言してはばからない政府高官を知っている。

えーそんなバカなと思うなら、完成したばかりのコンドミニアムを夜「夕食時」に見上げてほしい。灯りがついているのは、ほんの数カ所だ。昼間ちらりと見える駐車場は、ガラガラ。2ヶ月前には「完売」という大きなシールが看板に貼られていたのに、ね。

いずれにしろ、この勢いではあと何年自宅とオフィスの視界が保たれるのか、見当もつかなくなってきた。

 

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