がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

賑やかなカラブリアの夜

垂涎の日々にもひとつ書いたが、またもや「イタリア式、ニギヤカな隠れ家レストラン」に行ってきた。

隅 のテーブルに座るのは、近くに住む常連たち。近所の小さなイタリアンカフェにもよく座っているオヤジサンは、実は何を隠そう西豪州オペラ座の引退した団員 で、堂々たる恰幅、若いころはさぞや見栄えのいいオペラ歌手だったろうと想像させる男性だ。このオヤジサンにアコーディオン弾きが加わって、イタリア・グ ルメの旅のライブが始まる。

今晩はカラブリアの夜ということで、サラミ、チーズにナスのマリネを添えたアンティパスト、小魚のミンチケーキ、パスタに、魚 のトマトソース、そして鴨のローストという腹イッパイのコース。料理の間には、もちろんオヤジサンのオペラアリアが楽しめる。ところが、今日はなんと彼の 若い息子が加わった。西豪州サッカーの選手だったらしいが、どうやらオヤジサンにオペラの世界に引き込まれたらしい。堂々たる体躯に、しかし甘いマスクの 美丈夫である。見回してみたら、いや他のテーブルの女性たちもウットリと彼を見つめているではないか。そのせいか、小さなイタリアンレストランはいつもよ り熱気に包まれ、「フニクラフニクラ」や「ボラーレ」「リゴレット」のアリアなどにヤンヤの喝采。

美丈夫の息子は、ささっと3曲ほど歌って涼やかな笑顔を残して消え去り、口を開けて見とれていたわたしは、写真を撮るのを忘れたことに後で気がついた。

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