がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

濃密な空間をつくる

日曜日に蕾がまだ固い百合を市場で買ってきたのだが、それが昨日あたりからぽつぽつと開きだした。開くと馥郁たる香りがあたりに蔓延して、むせかえるくら いだ。俗にタイガーリリーと呼ばれるこの濃いピンクの大きな百合は、パースから南下すると野生のものが街道伝いにも見られる。

買ったときに、これ だけじゃあ寂しいかな、と一緒に活けたいものを探していたら、花屋の屋台のオジサンから、ブルーガムがすっと差し出された。ユーカリの一種で、木は10m にもなる大きなものだが、その丸くて青みがかった葉は、独特の煙ったスパイスのような香りを持つ。2-3本注文したら、「これは束じゃなきゃ売れない」と 言う。約150円という値段で一体どれほどの「たば」なのか、と待っていたら、いきなり一抱えのそれはそれは大きな「たば」が目の前にあった。長さもかな りなもので、そのまま下向きにかかえたら、もちろん160cmのわたしは引きずることになる。

家に持ち帰って4つの花瓶に移し変え、そして大輪の百合がそのすきまに開いてみると、濃密で甘い煙のようなスパイスが混じり合って、どこの部屋に行っても香る、香る。
タイガーリリーとブルーガムの目に見えない華やかな襲撃に、猫のゆきちゃんが「くちゅん」とくしゃみをした。

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