火を灯さない新しい蝋燭

蝋燭は好きだが、買ってからまだしばらくは灯をともさないこともある。忘れていたり、またはそんな気分にならないときなどが、そうだ。

昨日友達を 何人か呼んだときに、スコットランド出身のボブが座って飲み物を手にとったとたん、いきなり「マッチかライターある?」とわたしに聞いた。「あら、煙草 すってたっけ」とびっくりしたら、「いや、蝋燭に灯をともさなきゃ」と言う。珈琲テーブルの上には、まだ新しい蝋燭が二本、白い芯もそのままに置いてあ る。その両方にマッチで灯をつけたボブは、ふわっと明るくなったテーブルから目を上げると、驚くほど深みのある緑色の眼をわたしに向けた。
「灯をともしていない蝋燭はよくないんだ、迷信なのかもしれないけど。。。僕の母は蝋燭を台に置いたら、たとえすぐに使わなくても灯をともして芯を黒くしたよ。」でも引き出しにいれてある蝋燭はいいんだ、とも付け加えた。

昨 日のことだが、強く印象に残ってしまったらしい。テレビ用ソファのテーブルにも蝋燭があるのだが、ニュースを見ようとテレビをつけたとたん、目にはいっ た。さっそくマッチをとって灯をともす。マッチを手にしたまま見回したら、キャビネットの上にも新しい蝋燭がある。これにも灯をともす。部屋中の蝋燭をつ けて、やっと落ち着いてソファに身をしずめた。

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