がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

パーティー・パーティー

カジュアルで盛大なパーティに招かれた。スワン川の一周をしながら船の中で食事と飲み物と音楽を楽しむ、と聞いてはもちろん「行く行くっ」。

総 勢100人ほどの招待客は、半分以上が主催会社で働く従業員である。ビュッフェ形式のテーブルから好きなだけ好きなものをとって空いている席につく、とい う豪州式シンプルスタイルなので、もぐりこませてもらったわたしもゆっくりくつろいでしまった。食事もまあまあ、ワインも安物ではない。
ただこれ だけはやめてほしいなあと思うのは、どこのビュッフェでも目にする、「一皿に触れなば落ちんばかりに盛られた食べ物」だ。とても安いレストランのランチで もないかぎり、何度でも好きなだけ取りに行ってよいのがこのビュッフェ形式である。招待客しかいないパーティでは、言わずもがなだ。それなのになぜ、 フォークを入れただけでぼろぼろと皿の周りに食べ物がこぼれ落ちるほど、一度に盛るのか。サラダ用ドレッシングとローストの肉汁がまざりあい、魚と肉はど ちらがどちらだかわからない。オマケにその大盛りの皿のてっぺんには、ちょこんとパンまで乗っかっていて、落とさないようにそろりそろりと歩く姿も情けな い。そんなに色々な料理を一度に盛ってしまっては、それぞれの味を見つけ出すのも大変じゃないのかなあ、と日本語で呟く。

コートをとって外に出たら、船に当たる風が冷たい。見上げると、満天の星だった。

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