がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

「凹み修理の達人」を頼んでみた

車を運転していると、駐車場で隣の車のドアで凹みをつけられてしまうことが多い。周りの車に関心がなく、勢いよくドアを開けて隣の車にぶつけても何とも思わないひとがいるのは腹が立つが、だからと言って凹みが治るわけでもない。

特にわたしは最近車を買い替えたばかり、通勤に使っていてもまだ2000キロも走っていない新車なのに、運転席のドアにつけられた凹みは毎日イヤでも見なければならない。

見るたびに腹が立つのはさすがにイライラしてきて、とうとう修理専門のひとのお世話になることにした。ネットで調べて出てきた3つの修理屋に電話をかけて、一番対応が親切だった男性は自ら「Dent Wizard」(=凹み修理の達人)と名乗った。

今日の夕方姿を見せたその男性はものすごいスラブ系の訛りがあるが、愛想よく「なんとか直せると思いますけど、そりゃ虫メガネで見たらわかるぐらいは残りますねえ」とのこと。

まず取り出したのは大きな蛍光灯。そのスタンドの下には車輪がついていて動かせるようになっている。この蛍光灯のおかげでようやく写真を撮ることができた。凹みと言っても浅いので、ましてやマックロの車では写真にすると全く見えないのだ。

赤い丸の真ん中がその問題の凹み。バカモンが隣に駐車していた自分の車のドアをガン!と勢いよく開けてぶつけたのがわかる。

car1

場所がわかったら、まず窓を全開にしてから柔らかい布で覆った板をドアと窓ガラスの間に入れてガラスを保護し、平たいつっかい棒を入れて窓ガラスとドアの間に隙間を作る。そこから今度は長くて先っぽが平たい金属棒をすっと入れ、凹んだ部分をもう本当に1ミリ単位でそっと表に押し出すのだ。

car2

こういう修理をどうやってやるのか全く知らなかったので、全部手動で経験だけがたよりというのは興味深かった。
「マッサージと同じでね、もう優しく優しくやってやらないと返ってデコボコになっちゃうんで」なるほど。

ある程度平らになったら、今度は表からプラスチックの棒をこれまたプラスチックの槌でトントントン。

car3

それからもう一度内側から押し出しながら慎重に左右上下を点検し、終わったらまた表からトントントン。これを何回か繰り返して完了。

後は細かい紙やすりでちょっとこすってから、今度はクリームを塗って磨く。

car4

終わったら凹みは影も形もなくなっていた。これはスゴイや。

実は運転席の後ろのドアにももう少し小さい凹みがひとつ、そして助手席にも小さいのがひとつ。これも丁寧にやってくれた。

car5

左後方にはやはり擦られた跡があるので、そこも紙やすりで擦ってからクリームを塗って磨く。

car6

全部終わったのは1時間後。費用は日本円にして約1万5千円。お金はかかったけれど、凹みも擦り傷も跡形もなくきれいになった。

こういう修理をしてもらったのは初めてだったが、何でも大まかなオーストラリアでこんなに細かい作業を丁寧にしてもらえるとは思わなかった。ま、スラブ系のアクセントが強いということでオーストラリア人じゃないけどね。わたしは、ここではいい加減なサービスやら修理やらで結構イヤな思いもしているので、今回は純粋に嬉しかった。

終わってから洗車にも行ってきたので、車はピカピカ。明日からは、運転席のドアを開けるたびに「コノヤロコノヤロ、ヨクモヤッテクレタナ」と悪態をつかなくても済むってのが何よりである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です