がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

冷蔵庫一掃、残り野菜でカッペリーニ

気がついたら2016年もとうに明けてしまった。ブログをほったらかしにしていて、はや数ヶ月。書くことがなかったわけではないのだが、一度ほったらかしてしまうと思い出すまでに時間がかかるのが悪いクセである。

その再開の記事が「残り物を使って…」というのも何だが、まあいいや。

日本に帰って実家の冷蔵庫を開くと天を仰いでしまうのはいつものこと。
わたしの老母は一人暮らしだ。つまり誰もが「冷蔵庫はスッキリ」と思うだろうが、そうは行かない。もうありとあらゆる隅っこがほんの少しのものでギッチリと埋まり、一体どうやったらこんなに沢山のものを食べきれるのかわからないほどの量だ。

母の手術で一度数週間介護休暇をとって日本に帰っていたことがあるが、そのときに「片栗粉」を探していて台所の粉モノのカゴに入っていたのを見つけた。賞味期限は1997年である。なんと父がまだ生きていたときの片栗粉だ。そのときには母の台所を徹底的に片づけたが、数年たったらまた元の木阿弥になってしまっていた。

モノを捨てられない母を見てきたおかげか、わたしはどちらかというと「捨てるひと」である。食べ物に関しても賞味期限を過ぎたものはどんどん捨てるが、冷蔵庫の中のものは「捨てる」というより、「使い切る」ほうが合っているかもしれない。

前置きが長くなったが、そんなわけでわたしは1週間に1度ぐらいは冷蔵庫を(特に野菜室を)じっくりと嗅ぎまわり、残ったものを使って何か作っている。
…などというと聞こえはいいが、つまり野菜炒めにしてしまったりチャーハンを作ったり今日のようにパスタにしたり、ということだ。

残っていたのは、ズッキーニが半分、ちょいとしおれかけたマッシュルームがいくつか、そしてまだ大量に余っているセロリの束。使いかけの玉ねぎが半分。チェリートマトが10個ほど。これをチェリートマト以外は全てざく切りにし、にんにくのみじん切りを加えたたっぷりのオリーブオイルで炒めた。そこに、ミニローマトマトの缶をどぼりと加え、煮立たせてから庭のオレガノとタイムをむしりながら入れ、最後にチェリートマトを半分に切ったのを加えてひと煮立ち。

その間に湯はグラグラと煮立ってきているので、塩を加え、そこにカッペリーニと呼ばれる極細のスパゲッティーを入れて3分。カッペリーニは英語ではエンジェルヘアとも言うが、このぐらい細いとソースが少なくてもかなりからまって美味しいのだ。

茹で上がったカッペリーニにソースを半分加えて皿に盛り、さらに野菜ごろごろのソースを上からたっぷりかけ、庭のパセリとバジルを振りかけ、最後に削ったパルミジャーノを散らした。

肉も魚も入っていない完璧なベジタリアンのパスタだが、これにきりりと冷えたシャルドネを1杯。隣の椅子に座った猫たちのあくびを見ながら、静かな土曜日の夜はこんなふうに更けていく。

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