庭のミカン

雨期に入った日本はこれからますます暑くなる…というのは1万5千キロ離れた北半球の母国の話で、わたしの住む南半球の国オーストラリアはすでに冬を迎えて寒い日が続いている。

いや、寒いと言っても雪の降らない西オーストラリアの冬はせいぜい5度が最低気温。日本と違って「雨期は冬」の土地ゆえ、ここ最近は毎日風をともなった雨が降る。ただしその合間に真っ青な空と太陽が出ると、気温はすぐに20度を越える。太陽が輝き始めたら、皆上着を脱ぐのもパースならではの日常だ。

さてそんなある日、前庭に植えた「日本のミカン」が2つちょうど食べごろになった。と言うとなんだか毎年豊作のようにみえるが、実は食べられるのは今年が初めてだ。5年ほど前に小さな苗木を植えたのだが、日当たりがよいにもかかわらず、なぜかあまり伸びてくれない。いまはやっと塀にとどくぐらいまでになったので2メートル弱か。白い花は毎年いくつか咲くが、今まで食べられる実がなったことはない。小さいまま固くなってしまったり、鳥に食べられてしまったり、風で落ちてしまったり。

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そんな貴重な2つなので、大きくなるまで心配で食べるどころの話ではない。今まで待ったのは、もう少し大きくなるかなと思っていたからだ。その2つのうちの1つに凹みが出たので、これ以上待ったら熟しすぎて食べられなくなる。そっともいでみた。いい香りだ。こんな強いミカンの香りを嗅いだのは久しぶりだ。
普通に剥いてみたら、種は大きい。口にふくむと、その強い香りとともに甘い汁が口中に広がる。懐かしくて、知らず微笑んでいる自分に気づいた。

 

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