がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

ヴィクトリアパークのL’Enoteca

わたしは「外ゴハン」も大好きなので、近所のレストランはほとんど制覇しているが、もう一度行ってみたくなる店というと数えるほどしかない。そして、その 数えるほどしかないレストランには「惚れた弱み」で何回も通い続けている。そんなレストランのひとつが、このL’Enoteca(レノテカ、冠詞がついているのでLを読む)だ。

「エノテカ」はイタリア語でワイン貯蔵庫の意味。現在ではワインを主体にしたイタリアン・レストランによく見る名前だ。

わたしが行く時間帯はほとんど開いたばかりの5時半から6時前後で、いつも大きなクッションを背にした片隅の席に座らせてもらう。この時間ならほとんど予約もいらないのと、忙しくなる前なので比較的ゆっくりと静かなときが過ごせるからだ。

たいてい冷えた白ワインを頼んで、あとはいくつかSTUZZICHINI(小皿料理)を頼んで友達とシェアしているが、必ず注文するのがこの自家製オリーブとパン。オリーブオイルにバルサミコ酢をたらした小皿が添えてあり、パンをここにたっぷりと浸してから口に運ぶ。

DSC01036 copy3DSC01037 copy2

ハム類は切ってからしばらくたつと味も香りも変わるし、空気に触れた場所から古くなっていく。その点、この店の生ハムは皮を丁寧にカットしてから注文後にスライスされていて、新鮮で美味しい。クロスティーニと呼ばれるスティック状のクラッカーと酢漬けのピクルスが添えられている。

2014-08-05 DSC00137 copy-1

お次はキングプローン(車海老の一種)のグラタン。ニンニクと塩コショウしたパン粉をたっぷりと振りかけてオーブンローストしてあり、甘みとローストしたニンニク風味が交じり合って、これはうちでも試してみたい一品。

アランチーニは元々リゾットの残り物を丸めて揚げただけの再生料理だったが、あまりの美味しさに前菜として昇格してしまった定番料理。この店のアランチーニは、ひき肉とパルミジャーノチーズ入りで、こってりとしている。

29052015_3

サラダも必ず注文する。今回はオレンジとフェンネルのサラダ。オレンジとフェンネルは実によく合う組み合わせで、さっぱりとしていて嫌味のない味だ。

29052015_4

本当は今日はデザート抜きにするはずだったのだけれど、結局誘惑に負けてしまった。イタリア料理店の定番、ティラミスだ。この店のものは大きなものを切り分けるのではなく、ひとつずつ広口グラスに作っている。エスプレッソ珈琲にたっぷりとひたしたビスケットをベースにマスカルポーネチーズとマルサラ酒の至福の瞬間。

29052015_5

でも、パスタが大好きなわたしが全く注文しないのにはわけがある。
何回か食べたことがあるが、油が多すぎて胃にもたれるのだ。どのパスタにもたっぷりのオリーブオイルが使われており、それだけは開店当初から変わらない。食べ終わったあとの皿に、まだたっぷりと油が残るくらいだ。
味も雰囲気もサービスも近所のレストランでは最高のL’Enotecaだが、これだけは残念な点としてあげておきたい。

小皿料理やメインは季節によって少しずつ変わる。時々「あら、これはまだ食べたことがない」というものがあって、楽しみのひとつとなっている。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です