がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

地震モニターと行方不明者の「遺族」

ワシントンの地震学研究所サイトにある地震モニター(Seismic Monitor)がすごい。

世界中で発生したマグニチュード4.0以上の地震が、時刻、場所、サイズの情報とともにカラー地図に記され、20分ごとにアップデートされている。時刻はGMTだから、日本時間は+8時間にすれば間違いない。色分けされた輪は、赤が今日、オレンジが昨日、黄色が2週間以内、そして紫は2週間以上5年未満だ。その輪にカーソルを当てれば、テキストボックスがポップアップし、時刻、場所、サイズの詳細が表示されるようになっている。その他に、世界中の地震観測ステーションのデータや、地震に関する最新のニュースリンクもあり、地震地域の情報にも詳しい。
この地図を見ていると、日本とその周辺に輪が集まっていて、今更ながら「日本は地震国なのだなあ」と、怖くなる。赤、黄色、紫と色とりどりだが、それはとりも直さずほとんど毎週どこかで地震が起こっていることの証拠なのだから。

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1月19日付バンコク・ポストによると、オーストラリアでは、津波による行方不明者の死亡証明改正が問われている。米国・英国ではすでに改正への動きが始まっているが、英国慣習法を引き継ぐオーストラリアでも時間の問題だろう。今までの法律では、行方不明者は7年を経ないと死亡と見なされない。それを、津波行方不明者に関しては1年に短縮しようという動きだ。
今日、偶然スイス大使館のスタッフと話したのだが、スイスでも同じような問題が起こっているらしい。こちらは行方不明者が死亡と見なされるのは5年だが、その期間遺族は、年金、保険、遺族年金、未亡人年金、などの収入への道を保留される。特に、津波発生時に災害地にいたことが確認されているスイス人とその家族に関しては、「1年に短縮」を考慮しなければならないというのがスイス当局の考えだ。
変わって日本なのだが、こちらも行方不明者に死亡確認がとれるのは7年だ。が、民法30条と31条を見ると、なんだかややこしい。

第30条
不在者ノ生死カ7年間分明ナラサルトキハ家庭裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ失踪ノ宣告ヲ為スコトヲ得
2 戦地ニ臨ミタル者、沈没シタル船舶中ニ在リタル者其他死亡ノ原因タルヘキ危難ニ遭遇シタル者ノ生死カ戦争ノ止ミタル後、船舶ノ沈没シタル後又ハ其他ノ危難ノ去リタル後1年間分明ナラサルトキ亦同シ

第31条
前条第1項ノ規定ニ依リ失踪ノ宣告ヲ受ケタル者ハ前条第1項ノ期間満了ノ時ニ死亡シタルモノト看做シ前条第2項ノ規定ニ依リ失踪ノ宣告ヲ受ケタル者ハ危難ノ去リタル時ニ死亡シタルモノト看做ス

津波で行方不明になったひとたちが「其他死亡ノ原因タルヘキ危難ニ遭遇シタル者」として認められれば、7年かかる失踪宣告と同じ扱いになって、1年の後に死亡したと見なされる…ってことだろうか。よくわからない。
この民法の「日本語」は翻訳が必要だが、それにしてもこれだけ遺族の涙を新聞やらテレビやらで見せられても、日本の福祉が津波被害者の遺族をどう扱うのかには、誰も関心がないのかなあ。

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