アンコール!! (2013)

ここのところ老いたひとびとを主人公にしたドラマが増えている。最近観ただけでも、「マリーゴールドホテルで会いましょう」や「クワルテット」など、高齢者の多くなってきた現代で出るべくして出たテーマだと思う。

アーサーとマリオンは奇妙な夫婦だ。アーサーはめったに笑わない頑固ジジイで、息子とも折り合いが悪く、癌を患う妻マリオンだけが生きがい。反対にマリオンは明るく優しく外出好きで、老人たちのコーラスグループにも参加しながら残り少ない人生を謳歌している。

マリオンは力尽き、アーサーは独りに。
なんだ、最初からどうなるかわかるような陳腐なストーリーだと思うひともいるかもしれない。それを補ってあまりあるのが、このささやかなドラマを支える登場人物たちの魅力だ。誰も悪者なんかいない。誰もが優しく誰もが傷つきながら、それでも和解と癒やしを求めてさまよう。

ミュージカルというにはあまりにもシロウト集団だが、それでも命尽きる前にソロをもらったマリオンが歌うのはシンディー・ローパーの「トゥルーカラーズ」だ。アーサーのために。なんという温かい歌声だろう。か細くそれでもしっかりと愛を確認しながら。

マリオンが死んだあとのコンサートで、アーサーはビリー・ジョエルの「ララバイ」を歌う。目を閉じて静かに彼女に語りかけるように。こんな陳腐な歌なのに、と思いながらここでわたしは大泣きしてしまった。

「ひとにはお似合いのひとが必ずひとりいるのよ。わたしには、それがあなた」結婚前の若いマリオンがアーサーに言った言葉だ。
こんなふうに愛されるなら、年をとることも悪くないとふと思った。

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