がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

豚肉とキャベツの酢味噌和え、おからの卯の花

八百屋でキャベツ50円などという赤く書かれた札を見ると、やっぱり買ってしまう。春というよりすでに初夏だが、日本のキャベツは柔らかくて美味しい。

しかし。
実家で母の介護をしながら暮らしていたら、そんなに量を消費できるわけもない。炒めものにしたり、お昼の焼きそばに入れたり、かなり使っているのだがそれでも1/4ほど残っている。
これを使いきってしまおうと思い、ついでにニラも添えて、ざく切りにしたのを茹でた。茹で上がったら、同じ湯で豚ロースの切り落としも茹でてしまう。それを味噌、砂糖、玄米酢、卵の黄身、和辛子をガシガシと混ぜあわせ、最後にたらーりと油をたらして、キャベツとニラと豚肉を放り込み、ざっと混ぜて青ネギをたっぷり散らした。

豚肉を茹でるときは、いかにズボラなわたしでもじいっと観察し、色が変わったらすぐに引き上げる。グラグラと煮立つ湯に長居をさせたら固くなるからだ。

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卯の花はスーパーの惣菜売り場で見たら、どうしても食べたくなった。
材料を買って勇んで戻り、母に「ねえ、味付は普通の煮物風でしょ?」と聞いたら、「卯の花はすき焼きを作ったときに、余った汁でしかつくったことがない」というつれない返事が返ってきた。そういうものか。つまり、実家ではすき焼きの残り汁のときに、次の日につくるリサイクルだったのだ。そりゃ、美味しいよなあ。煮汁にダシが出ているのだから。

わたしの場合はそんな煮汁が残っていないので、自分でつくってみた。
具はニンジン、椎茸、油揚げ、こんにゃく。下ごしらえは、油揚げを湯通しして、こんにゃくを茹でてアク取り。あとは全て細切りにし、鍋で炒めてから醤油、みりん、砂糖、酒とダシ汁を加え、おからを放り込んで、汁がなくなるまで煮た。

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副菜はきゅうりともやしの梅しそポン酢。きゅうりは塩ずりしたものを細切りにし、ゆでたもやしと刻んだ大葉に、たたいた梅干しとポン酢で。

味噌汁は、わたしの大好きな豆腐とエノキダケ…と思ったが、結局食べたのは酒を飲まない母だけだ。晩ゴハンにやってきた妹と晩酌が始まってしまい、つくったお惣菜をサカナに飲み始めてしまったからだ。

たまに会う妹とは、話がはずむ。母の病院のこと、仕事のいやーなこと、認知症の伯母のこと、そして最近増えてきた白髪のこと、日本の年金のこと。すでに中年と言われる歳になってしまった姉と妹は、昔とは話題が違ってきたことに気づく。
「お姉ちゃんは、退職したら一体どこに住むの?」と訊かれて、デラシネの姉は「うーん、どうしようかな」とあいまいに答える。日本もいいな、と思うけれど、半分ガイジンになってしまった感覚と考えかたが日本の暮らしについていけるかなと、ほんの少し不安にもなる。

 

 

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