皇后陛下の黒い車

天皇皇后両陛下が初めての私的な旅にお出かけになられた、というニュース。
皇室とはそうしたものなのかと、少々ビックリしてしまった。タイやイギリスの王室とは違った、とても質素で禁欲的な生活を送っておられるのだなと。

すでに20年ほどになるが、友達と皇居付近を散策したことがある。
突然ご門から黒い車が1台すうっと出てきた。ええっまさか、と思う間もなく、それが皇后陛下であることに気づいて足がすくんでしまった。たった1台である。回るライトをつけたパトカーの護衛もなく、周りで交通をせき止める警官の姿もない。

長く住んだタイ国にも王族がいらっしゃるが、必ず行く先々の街角で交通を遮断し、警察の先導で猛スピードで街中を飛ばしていく。そのおかげでさらにひどい渋滞になってしまうのだが、タイ人たちにとっては日常茶飯事であまり気にもならない光景のようだ。

そんな経験をしてきたわたしの目には、その黒い車に乗っていらっしゃる方がまさか皇后陛下だとはとても信じられなかった。そして、門の側であっけにとられたわたしたちに気づかれると、美智子様は車から深々とお辞儀をされた。こちらも思わず直立不動でほとんど直角にお辞儀だ。時間にしたら、ほんの2−3秒の出来事だったと思う。

そのひっそりとした質素なお出かけと美智子様の丁寧なお辞儀は、今でもはっきりとまぶたの裏に焼き付いている。

 

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