10日後に気づく「あ、そういえば」

スイス・チューリッヒにいる日本人の親友から、メイルが届いた。「このメイルを読んだら、すぐに連絡してください」
今ごろ、わたしたちがタイにいることに気づいたらしい。そして、もしかしたら休暇で南の島辺りに行っていたかもしれない、と思ったのだ。まったく、もう。

夜になってから電話すると、案の定「いやー、生きていたのねえ。ホント、よかったねえ」なんぞと言う。
「アナタねえ、今ごろ消息確認なんかやったって、遅いんだからねっ。もう1週間以上たっちゃって、タイではすでに捜索活動は打ち切り、復旧活動に移行してるのよっ」
「ま、いいじゃん。生きてたんだから。ホント、よかったねえ」

わたしは、彼女のこういうノーテンキな温かさが大好きである。
「実はさ、ウチの娘にボーイフレンドができちゃったのよ。だから、あなたみたいなひとの助けが必要なのよね。性教育なんて、わたしにゃできないもん」
「13歳になったばかりの娘に性教育かい。そんなとこまで、話が進んでるの?」
「いやいや、備えあればウレイなし、っていうでしょ。いちおう、180度線は越えちゃイケマセン、って言ってあるけど」
「なによ、それ。180度線って、180度の角度で、ふたりが重なって横になっちゃったらいけない、ってこと?」
がはははは、と笑い出した彼女は、「もー、あなたってひとはっ。違うわよ。あのさ、北朝鮮と韓国の間に線があって、そこは越えちゃいけない、って確かあったじゃない。180度じゃなかった?」
それは、北緯38度の軍事境界線のことだろうが。

彼女と話をすると、どうも掛け合い漫才のようになってしまってイケナイ。

 

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