がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

ハリウッド版 “Shall We Dance?”

うちで軽い食事をとったあとに、ハリウッド版 “Shall We Dance?”を見てきた。

日本で公開しているのかどうかわからないが、リチャード・ギアを主役にジェニファー・ロペスをダンス教師に配し、ギアの妻はなんとスーザン・サランドンだ。1996年のオリジナル版と比べたら、たぶん何倍もの資本がかかっているのではないだろうか。
ストーリーはオリジナルとほとんど同じなのだが、残念なことに二時間以内で切り上げることにしたこのハリウッド・リメイクには、微妙な伏線やら細やかな心の動きが欠けている。大幅にはしょられてしまった部分をオオモノたちの存在感で埋めようとしたのだろうが、リチャード・ギアはキザな微笑みが役柄を殺してしまっているし、ジェニファー・ロペスはセクシーすぎて草刈民代のようなストイックな高貴さがない。

何よりもわたしが腹立たしかったのは、役所公司の表現したあの爽やかでいじらしい恋心が、リメイク版ではいきなりギアとロペスのほとんどセックスしているようなダンス場面で台無しにされてしまったことだ。このくらい色をつけないと、アメリカじゃあ売れないってことか。

オマケに、周防監督のもとでは考えられなかったようなシーンまで加えられている。最後にロペスの送迎パーティに駆けつける前に、リチャード・ギアはブラックスーツに着替え、あろうことか赤い薔薇を一本もって妻サランドンの職場(デパート)に現れるのだ。「ほんとに踊りたいのは、君となんだ」きっざー。
思わずぶぶぶと吹きだして、口の中でもごもごやっていたポップコーンを前のひとのアタマの上に飛ばしてしまった。

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