オーストラリアディのピクニック

オーストラリアの建国記念日は1月26日、「オーストラリア・ディ」です。 ちょうどその日の朝早くバンコクから着いたわたしは、国旗をなびかせながら 走る車や、家の脇に立つ巨大な豪州旗、国旗のインスタント刺青をしたひとび とを見て、やっとそのことを思い出しました。

美しい花火が上がるのは8時からということで、街に行って人の波にもまれな がら鑑賞するか、それとも家のテレビでゆっくり見るか、と思案していたとこ ろ、ちょうど友達から電話がありました。 「いくらなんでも、そろそろバンコクから帰ってくるだろうと思って、さ」 今晩はどうするの、と聞くと、「何言っているのよ、あなたの家のそばに絶好 の場所があるじゃない」 近くの駅の横に立つ、アパートメントハウスのことでした。道路に面して芝生 をはった庭が大きく広がり、高台のそこからは街が一望できるのです。私有地 じゃないのか、と心配しましたが、彼女が言うには「近所のひとたちでイッパ イよ」とのことなので、ピクニックまで用意して出かけました。

1時間も前に行ったのに、そこはまるで公園のようにひとびとが集まっていま す。皆毛布を敷き、折りたたみ椅子を出し、ワインやビールを手に、楽しく食 事をしているのでした。わたしのグループは四人でしたが、彼らの知っている ひとたちも来ていたとみえて10人ほどがなんとなく集まってしまい、がやが やとパーティ のような賑やかさです。サラダが回され、パンをちぎってほうってもらい、鶏 の手羽を渡され、ビールだ、ワインだと美味しいおしゃべりをしていたら、 「ぽーん」という音とともに街の方角から、大きな花火が上がりました。 赤や青の色が一斉にふりまかれ、星のまたたく夜空に散って行きます。 キレイだねえ、という感嘆の声がすると、その声に合わせていくつもの頭が薄 明るい庭でうなずき合いました。

初出:メルマガ「AVANCE!」No. 144

 

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