風邪には蜂蜜レモン

冬の寒い時期に風邪をこじらせてしまうのは、いつも長女のわたしだけでした。妹や弟が元気に飛び回っているというのに、わたしは学校を休み、鼻を真っ赤にしてふうふうと熱にうなされます。

そして、夜中になると必ず咳が止まらなくなりました。そのたびに、母はそっと台所に灯りをつけ、湯を沸かし、レモンをしぼった湯に蜂蜜をたらして、枕元に持ってきてくれます。レモンの爽やかな香りにも気づかないほど鼻がつまっていますが、その熱く甘い蜂蜜レモンを口にすると、苦しかった喉が柔らかくほぐれてくるのです。
のど飴をなめても直らない咳がぴたりと止まり、ようやくぐっすりと眠ることができるのは、いつもこの母の蜂蜜レモンのおかげでした。

このところ風邪を引いたり直ったりという日々が続き、体調がすぐれなかったのですが、日曜日に「これから蜂蜜を持っていってあげるからね」と友達がやってきました。わたしが電話で蜂蜜レモンの話をしたからですが、持ってきてくれたのは、タッパー入りのなにやらクリーム状のものです。精製された透明な飴色の蜂蜜ではなく、紅茶に牛乳をたらしたような濁った色をしています。スプーンを入れてみると、確かにすうっと通るほど柔らかくはなくねっとりとからみつきます。

「市場で売っていたものだから、手作りみたいよ」というその赤いユーカリの蜂蜜を、さっそくレモンを絞った湯にたらして一口すすってみたら、子供のときのように喉がほうっと潤ってきました。

(初出:メルマガ「AVANCE!」 No. 130, 27/06/04)

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