がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

新鮮な殻つきホタテ貝とジェラルトンの大海老はシンプルに焼く

12年生の生徒の補習があったのですっかり遅くなってしまった。時計を見たらすでに6時半。牛乳を切らしている。卵もない。近くの小さなショッピングセンターが今年から毎日8時まで開いていることを思い出し、車を飛ばしてすっとんで行った。

脇目もふらずスーパーを目指して大股で歩いていると、「コンニチーワ」という「チ」にアクセントをつけた呼び声が10mほど先から。おお、改装のため2週間閉めていた魚屋の中国人オーナー、丸顔オジサンだ。「アンタっ、絶対これ買わなきゃ帰れないよっ」などとブッソウなことをまたも叫ぶので、なんだなんだと近づいてみれば、デカイ手書き(実は走り書きとも言う)の紙がウィンドウに貼ってある。「とびきり新鮮なホタテ貝と海老!!!」とオジサンの叫びをそのまま書いたようなポスターだ。
「これは生で食べられるホタテ貝と海老だよ。ホタテ貝は今年初めてだよ、西オーストラリア産は。それから、このジェラルトンの海老を見てくれ、このウツクシイ殻を。ピンクだぞっ」実は、豪州の海老は釣ったその船で冷凍にしてしまうのが普通だが、この大海老は生だ。こういうのは、西オーストラリアでは珍しい。よし、買った。

お腹がすいているときに買い物をするものではない、という忠告を思い浮かべる間もなく「10個ずつっ」と叫んでいたわたしは、オジサンの興奮につられてしまったのかもしれない。会計で「ぎょっ」となって思わず半分ずつに減らそうかと思ったくらいだが、結局カードを使って買った。豪州ではそんな大金を現金で持ち歩くひとは少ない。

さて昨日は白ワインを飲みながら解体し、両方とも半分ずつ刺身にしてたらふく食べてしまった。新鮮なホタテ貝はヒモさえこりこりと美味しい。

さて、一日たって今日もまた遅かったがそれでも7時には帰宅。
外のバーベキュー台を出そうかと思ったが、寒い。めんどくさい。結局、オーブングリルを使ってきれいに洗ったホタテ貝を殻付きのまま放り込む。回りには背中だけ割って背わたを取った海老を5匹をグルリと取り囲んで10分。貝が開いて、海老の殻がカラリとしたところを取り出す。

母がいつも取り寄せているポン酢を冷蔵庫から取り出し、「あちち」と言いながら次々と上の帆立貝殻を取りたらりとたらす。ちょいと味をみたらもう少し酸味が欲しい。レモンをスライスしてまたたらーり。ヒモを含んだら大福ほどもあるホタテ貝をそうっと口に含んでかじる。ふう、とため息が出る。海老はほんの少しレモンをたらし、そのままバリバリと殻を剥き、ワタをそそり、手を使ってほうばる。ああ、至福のとき。

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