がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

小麦粉を使わないチョコレートリコッタケーキ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA外国語科の教師はパートタイムのひとも含めて全部で七人。日本語は、九年生から十二年生まで教えているわたしと七年生と八年生を教えているオーストラリア人教師だけで、あとは全てフランス語教師たちだ。

年に順番で七回誕生日ランチをするが、もちろん均等に一年中あるわけではないから、必然的に誕生日よりもはやくランチパーティーが来てしまうほうが多い。これを、わたしたちはアン・バースディー (Un-Birthday=誕生日じゃない誕生日)と呼ぶ。
十月に誕生日があるわたしのこのアン・バースデーランチは、なんと七月だった。事情を知らない他学科の教師から「誕生日おめでとうっ」と言われ、早めに年取ったようでちっともうれしくない気分を味わったが、こればかりは仕方がない。

さて、先週の水曜日は若いフランス語教師のアン・バースディーで、わたしの担当。車を運転しない彼女のために、学校近くの洒落た紅茶と茶道具の店で商品券のプレゼントを手に入れ、さてケーキをどうしようかと迷った。水曜日は午前中すべて授業なので、ケーキを買いに行く暇などない。久しぶりに、手作りにしようと決めた。

火曜日は早めに学校を出てジムに寄り、そのままスーパーへ。材料を買って帰宅し、晩ご飯と木曜日の授業の準備、そして「ケーキはどうしたっけ」と気づいたときにはすでに九時。あわててオーブンに火を入れ、チョコレートを湯煎にするための湯を鍋に沸かし、レモンの皮を二個分がりがりとけずる。

普段はイイカゲンな目分量のわたしも、ことケーキとなると計量カップを持ち出してかなりきちんと計る。
大きなステンレスのボウルに砂糖を300グラムとアーモンドミールを250グラム入れる。そこにけずったレモンの皮を加え、シナモンパウダーを小さじ半分。わたしは、ケーキを作るときには、よほど大量に必要な場合を除いて必ずバニラビーンズを使う。バニラエッセンスは手軽なのだが、香りは「入れたての珈琲」と「ネスカフェ」ほど違う。このバニラビーンズは真っ黒なサヤにはいっているが、これを縦に切り開いて中の小さなビーンズを取り出して、ボウルにぱらぱらと入れる。サヤは他の料理に使うため冷蔵庫で保存。

ここにリコッタチーズを500グラム、目の細かいザルで漉しながら加える。そして卵の黄身を四つ分。最後に、湯煎にして溶かしたダークチョコレートを250グラム加える。

卵の白身四つ分は、ここで登場。角がたつほど堅く泡立てて、ふんわりと加える。後はバターを塗って小麦粉をはたいたケーキ型(24センチ)に入れ、180度のオーブンで45分から50分ぐらいで焼きあがる。

手順はかなり簡単なのでテレビを見ながらでもできてしまうが、熱いまま型からは出せない。次の日の朝、冷えたケーキを型から出し、粉砂糖をはたいてざく切りにしたピスターチオを散らした。

レシピでもわかる通り、型にはたいた以外一切小麦粉を使っていない。つまり、どっしりとしたリッチでなめらかなケーキだ。リコッタは日本人にはおなじみのティラミスに使うが、こうやって焼くケーキに加えてもとても美味しい。来週27歳になるフランス人の教師は、甘いものに目がない。ランチの後、三分の一ほど残ったケーキを大事そうにアルミホイルに包んで持って帰った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です