スイス風リブアイのオーブン煮、セージソース添え

いつもは二十分以内で出来上がってしまうような料理ともいえないシロモノを食しているが、そりゃあタマにはちょいとソースなんか作ってしまうこともある。

スイスにいたころは、「肉料理=ソースは絶対添えようね」という料理を色々なひとたちから教えられたし、またレストランでもファミリーパーティーでも食べていた。それがドイツ系スイス料理の特徴なのだが、いささか食傷気味だったのも確かだ。
美味しいことは美味しいが、毎日食べられるものではない。スイスの家庭でも、日曜日のローストか人を招待したときの夕食に限られていた。

だから、「じゃあ今日はスイス風ポークと行きましょう」と友人たちを招待した時、「小麦粉とバターがあるかな」と一番先に思ったものだ。明日から第二学期のハジマリとはいえ、今日月曜日はまだ「祝日が土曜日だったので、振り替え休日になっちゃった月曜日」なのだ。休日のローストは、ソースがなければ「スイス風」とは言えない。
土曜日にほとんどの店が閉まっていたため、今日の振り替え休日は銀行を除いてほとんどが五時まで開いている。

最初は混乱してしまったが、「あばら骨の外側の肉」(リブアイ=Rib Eye)は、こちらオーストラリアではスコッチフィレ(Scotch Fillet)と言う。適度に脂が乗っていて、ステーキにしてもローストにしても柔らかくて、失敗も少ない。今回は、これをポットローストにした。普通の「焼くだけ」ローストとは違い、これはくず野菜とワインにつけてオーブンでとろりと煮込む。スイス風煮豚、というわけだ。

まず鉄鍋にバターを落とし、スコッチフィレの塊にまんべんなく焼き目をつける。取り出したら、バターを足して、今度は皮をむいたニンニクをひとつ分、ざく切りのニンジン、小さめの玉ねぎかエシャロット、そしてベイリーフとタイムをたっぷり入れて、五分ほど色がつくほどに炒める。ここにどぼりと白ワインの瓶半分ほど注ぎ、豚肉の塊を戻して百八十度ぐらいのオーブンで約一時間ちょいとほど煮こむ。

豚肉を取り出してアルミホイルにくるんで十分ほど「寝てもらう」。こうしないと、ローストは硬くなってしまうのが常識。

その間に、ソースだ。
ステンレス製のザルで鍋に残った肉汁を漉す。上からヘラで押し付けるだけで、柔らかくなった野菜も簡単ににゅるにゅるとザル目から落ちる。これを小さな鍋に入れ、泡立て器でバターと小麦粉を加え、煮立たせる。いくらわたしがイイカゲンでも、この肉汁を使ったソースだけは目を離さない。ずっと泡だて器で混ぜていないと、ダマになってしまうからだ。とろりとしたら、セージをたっぷりと入れる。

出来上がったポットローストは、所々にはさまった脂のおかげでナイフですうと切れるほど柔らかい。それどころか、招待客全員がパンを所望してすくい取り、セージ風味のソースはまたたく間に最後の一滴まできれいになくなった。

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