がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

大海老の中華風セイロ蒸し

大きな冷凍庫が欲しいなあ、と思うこともある。冷蔵庫にくっついているのではなく、店で使うように上蓋を開けるようになっていて急速冷凍だってできる、というヤツだ。
なんでこんなことを考えるのかというと、三ヶ月前に買った海老が今回で底をついたからだ。

北のほうにあるエクスマウスでは、海老漁がさかんだ。大きな船で海老をどっさりと網上げして、船の中で新鮮なうちに冷凍してしまう。一週間ほども太平洋の沖にいるわけだから、急速冷凍が新鮮さを保つためには一番なのだ。
伸ばしたら体長17-8cmもある巨大な海老は、だから養殖ではない。
ところが、この高級海老が、5キロ以上などというとんでもない量を買うなら、パースでは望むべくもないほど安価に手に入る。船の持ち主兼漁師にファックスで注文をうって(Eメールじゃないところが、素朴だ)直接船がパースに入港したときに受け取りに行けばいい。


友達のひとりに教えてもらったので、さっそく2キロ一緒に注文してもらったのが三ヶ月前。2キロくらいなら半年かからずに食べられると思ったが、何しろ殻がかさばる大海老のこと、冷凍庫にどんとかまえてしまって他のものがはいらなくなるほどだった。私の冷蔵庫は、観音開きの扉で左に冷凍庫、右に冷蔵庫、全部で600L以上はいる大型だ。それでも、2キロの大海老は苦しい。

そんなわけで、何週間も積み木のようにモノを重ね合わせながら使っていた冷凍庫だが、とうとう最後の大海老になった。これで終わりとなると、なんだか淋しいような…。しかし、友達が注文するときに頼むならまだしも、個人で注文するとなったら5キロだ。そんな場所なんか製氷皿を出したって、ない。

海老の頭は、後日スープに使うために残しておいたが、あとは尾だけ残して殻をむき、背ワタをとる。皿に平らに盛って千切りにしたショウガを乗せ、日本酒をふりかける。そのまま、湯気がもうもうと上がっている蒸篭(セイロ)で四−五分蒸すだけだ。
蒸している間に、胡麻油、醤油、砂糖少々のソースを温めておいて、蒸し汁ごと別皿に盛った海老の上にかけて、スプリングオニオンを散らした。
材料がいい時には、こんな感じで十五分くらいで出来てしまうシンプルな中華に。

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