がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

スカロッピーネのカシス・パインナッツソース

クレーム・ド・カシスという甘いリキュールは、とても懐かしい響きを持っている。フランスにいたころ、学生寮のパーティーでは、必ずと言っていいほど安い白ワインにこのリキュールを混ぜた飲み物が出た。口当たりがよく美しいルビー色の飲み物は、しかし飲みすぎたらこれまた必ず次の日の頭痛が待っている。

今では、誰でもが知っているキールというカクテルだ。安い白ワインをシャンペンに変えれば、今度はキール・ロワイヤルという立派な名前になる。
このカシスはフランス語。英語では、ブラック・カラントだ。日本では、黒スグリと言うそうだが見たことがない。

リキュールと違って、オーストラリアでは干したものも手に入る。肉料理のソースやデザートに用いるためだ。実は、わたしはこれを生アーモンドに混ぜておいて、時々学校で口淋しいときにぽりぽりとかじる。美味しいし、栄養満点。

今晩の夕食に使う仔牛肉の切り身は、土曜日の閉店ぎりぎりに駆け込んだスーパーで、棚の隅に残っていたもの。小さな切り身だが、スカロッピーネにできる。ニンマリと籠に放り込んだが、はて温野菜にするようなものが何もない。土曜日の遅くに行ったら、もちろんなーんにもいいものは残っていないのがフツウなのだ。
仕方なく、あとは冷蔵庫と貯蔵室のもので何か作ることにした。

カボチャは乱切りにし、スライスした赤たまねぎ、チリパウダーとオリーブオイルをふりかけて、220度のオーブンへ。カボチャにフォークがすっと通るまで。
あとは、サラダに混ぜてフェタチーズをかけたら出来上がり。
その間に、仔牛肉の切り身をラップに挟んで麺棒で叩く、叩く。紙みたいに薄く伸びたら、ラップをはがして塩コショウし、小麦粉をぱたぱたとはたく。オリーブオイルをフライパンに熱して、裏表軽く焼く。

同じフライパンに今度はバルサミコ酢、仔牛肉のブイヨン、砂糖少々を煮立て、バターを加えてばりばりとかき混ぜる。火を中火にして、今度はパインナッツとブラックカラント、そして萎びたマッシュルームのスライスを入れてひと煮立ち。ソースの出来上がり。
肉にかけてサラダを添え、さっき庭で摘み取ったイタリアンパセリをぱらぱらとかけたら、いやなんだかゴージャスではありませんか。

こういうちょいと甘めのソースは、バターでかなりこってりとしているが、サラダと食べれば意外と気にならないものだ。

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