母の煮豚

買い物から帰ってきた母の包みを開くと、大きな豚モモ肉のかたまりが五つも出てきた。「お正月は終わったばかりなのに、こんなにたくさんのお肉をどうするの?」と聞いたら、「ふふん、オカアサンの煮豚は美味しいのさ」と来た。近くに住む妹夫婦たちの大好物なので、かたまり肉が安いときに大量に作ってやるらしい。
作り方はいたって簡単。

フライパンに油を熱して豚肉にまんべんなく焦げ目をつける。そして、大きな鍋にしょう油、砂糖、水、酒、ネギのぶつ切り、ショウガを入れ、その煮汁でコトコトと一時間半ほど煮るだけだ。煮汁が足りなくなったら、水を足す。材料を入れているところを見たら、茶碗とスープスプーンでイイカゲンな目分量だ。ああ、こういう作り方はもしかしたら遺伝、血の為せるワザだったのか。

台所から、ぷうんといい匂いがしてくる。
「オカアサン、一個くらいわたしの分も取っておいてね」と念を押した。

 

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