がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

静かな正月の静かな夕食

昨日から始まったタイ正月「ソンクラン」のおかげで、行きつけのレストランのほとんどが3日間休業、屋台さえまばらだ。いつもの渋滞がなく、普段は30分かかるところへでも5分で着いてしまう。タイ人もガイジンも揃って消えてしまったバンコクでは、年中無休のショッピングセンターが賑わいを見せているだけだ。
午前中は、誰もいないマンションのプールにドザエモンのように浮かび、午後遅くなってから買い物に出てみた。

鶏肉はたとえ鳥インフルエンザに侵されていたとしても、80度以上の高熱で調理すれば大丈夫らしい。それでも、3ヶ月ぶりのスーパーでは鶏肉がほとんど売られていない。隅っこのほうに丸のままの鶏肉が4−5個ころがっているだけだ。
代わってハバをきかせているのが、豚肉だ。「清浄豚肉」と大きく書かれているが、タイのことだから、本当かどうかはお釈迦様だけがご存じだ。
それではベジタリアンになるしかない、いやいや野菜だって危ないって言うじゃないか、と心の中で葛藤してみてもしょうがない。久しくローストをしていなかったと考え直し、大きなかたまりをひとつ切ってもらった。

ローズマリとタラゴン、それににんにくを加えて、実はタイにもある思い石製の臼の中でぽくぽくと叩く。前にも書いたが、フードプロセッサーを使うよりは、こちらのほうが風味が出る。出来上がったペーストを肉に塗りたくり、ついでに切り口にロズマリーとにんにくをねじりこみ、後はオーブン任せだ。付け合せには、チェリートマトとピーマンをバルサミコソースで軽く炒める。

オフィスも閉めているし、ウルサイ秘書も掃除の嫌いなメイドもいない。なんだかシンとした家の中に、スパイスと肉の焼ける香りがふわりとただよってきた。

 

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