がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

日本人は電車で熟睡する

先週、扁桃腺炎のためかかりつけのクリニックに行った。熱もあったが、何しろ待たされること、待たされること。予約時間の三十分も前に着いてしまったのもあって、一時間も待合室の固い椅子に座らされることになった。最初のうちは、隣の子供がどたどたと走り回り、その母親の注意する声が子供のより大きいとあって、眉間のシワが深く深くなりつつあったのだが、ようやく子供が診察室にはいってほっとしたからかもしれない。

寝てしまった。しかも、眉間のシワより深く。

肩をたたかれて「おお」と目が覚めたのだが、前の席に座っている人たちがじっとわたしを見ていた。実は、西洋ではこの「人前で寝る」ということが大変珍しいのだ。

毎年姉妹校に交換留学生を送っているが、帰ってきた彼女たちの話に必ず「電車で熟睡している日本人」に驚いたというエピソードがはさまる。もちろん、そうした写真もかなりたくさん撮っているらしい。
そういえば、老いも若きも、携帯電話をいじる以外は皆ほとんど目を閉じる。目を閉じているだけのひともいれば、もちろんコックリコックリと眠りこけるひともいる。だんだんと口がぽわんと開き、後ろの窓ガラスに頭をごつんとぶつけて、はっと目が覚めるひともいる。隣の人の肩にそろそろと頭をもたせかける迷惑なひともいる。「皆、疲れているんだなあ」、そして「なんて無防備なんだろう」と、一年に一度しか帰国しない半分ガイジンのわたしは思う。何のことはない、車窓の景色と前に座ったひとたちを見るのに飽きると、わたしだって目を閉じるんだけれど。
電車の中で安心して目を閉じられるのは、日本がほかの国々に比べるとまだまだ安全、ということを意味しているのかもしれない。

だから、RAKUDAITAの真伊さんが「フランスの電車で熟睡して、終点で声をかけられた」という話を読んで、あ、やっぱり日本人だねえ、とにやり。

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