がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

歯磨きしながら、毎日自分の誕生日を祝う

金曜日、女学校付属の幼稚園と小学校で「歯磨きの仕方」という講座があった。高校のほうからお手伝いに行った、十年生の生徒たちがわたしのクラスに戻ってきたときに知った。
「絶対二分間は、磨かなきゃいけないんです。センセイ、ちゃんとやってますか?」
「やってますよー。だって、デカイ時計が壁にあるもん」
「でも、結構2分間って長いんですよね」
うん、そうだ。時々口を開けていて疲れてしまうこともある。そして、以前友達のひとりが言ったことを思い出した。
虫歯治療のあとに、二分間磨かなきゃイケマセン、と歯医者にきつく言われた彼は考えた。壁に時計はあるが、それを見ながらやるのはつらいし、飽きる。ふとすばらしいアイデアが頭に浮かんだ。歌えばいいんだ。いや、歯ブラシをくわえたままでは歌えないから、ハミングだ。
でも、どうしてそれが「ハッピィ・バースディー」なんだよ。
「だって、僕が最初から最後まで歌えるのはこの歌くらいだし、いつも同じ速度で二回歌えば終わるのがキッチリ二分後なんだ」
かくして、彼の朝の日課は「自分の誕生日を祝うハミング」で始まることになったのだった。
彼は独身ではない。オクサンはいったい毎日どう思っているのか、かなり気になる。だって彼は知るひとぞ知る、ものすごい音痴なのだよ。

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