がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

ネットが使えない不安

二十六日の晩起きた台湾大地震の影響は、タイにまで及んだ。

国際電話とインターネットが一時、というよりほとんど二十七日いっぱい接続不能という状態に陥ったのだ。アジア・オセアニア地域の通信をつかさどる、台湾沖の海底ケーブルが損傷を受けたためだ。大部分を他のケーブルに迂回させたようで、二十八日と二十九日は速度が非常に遅いものの、一応どのサイトも見られるようになったし、メールもダウンロードできるまでに回復した。

わたしのオフィスはADSLだが、速度は他国と比べると異常に遅い。YouTubeのビデオはリアルタイムで見られない。まずダウンロードしてからだ。プロバイダーは1000Kbpsだと言うが、ダウンロード速度なんてほとんど20−30Kbpsだ。一日に何度も落ちるし、ウィンドウズアップデートなんか始まったら、わたしはもう「さて、食事にするか」とデスクを離れる。ディスプレイの前で、口開けて眠りコケそうになるからだ。それほど、遅い。

だから外資系の大会社はタイの回線を使わず、直接衛星通信で本社とのネット接続をする。つまり、今回の海底ケーブル損傷で二日間イライラしていたのは、弱小オフィス(うちんとこも含む)と個人ユーザーだ。インターネット会議を主催する会社も、またネットを使って株を買っていたひとたちも、ナスビのように青くなった。ネットが使えないため、オフィスに直接書類を持ってきたクライアントは、「これじゃWWWはWorld Wide Waiting だよねえ」と苦笑した。わたしも、実は今月中にインターネット決済をしなければならないものがあったが、オーストラリアの銀行サイトにはもちろん繋がらない。最初のニュースで「海底ケーブル修理には二−三週間必要」と出たときには、冷や汗が出た。今日からは、一応接続に問題はない。

わたしのインターネット歴はもうすでに十年以上になるが、ここまで依存するようになるとは思ってもみなかった。書類にサインをする以外、銀行に直接足を運ぶこともなくなったし、何かの質問をするときにも電話よりメールを選ぶ。時間帯に煩わされないからだ。わたしの働く学校でも、ほとんどメールで連絡が行われる。書類も電子化されているから、ハードコピーが欲しい場合は個人でプリントするだけだ。生徒たちも、最高学年を除く五年間、Macのノートパソコンを支給されている。

事前に決心してコンピュータを持って行かない休暇は別として、いきなり外の世界から遮断されたような不安を覚えたのは、今回わたしだけではないと思う。

 

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