がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

気の滅入るときにはゆっくり料理を

少々むしゃくしゃすることがあって、ほんのちょっと夕食に手をかける。料理は、こういうときの気晴らしにもってこいなのだ。まあ、手をかけるといってもいつものオーブン料理だが。
残 りは冷凍すればよいので、1kgの豚肉のかたまりを手にいれ、念入りに荒塩と胡椒をすりこみ、オリーブオイル、ローズマリー、ニンニクを混ぜておいたもの でその上から覆う。あとはあたためておいたオーブンにぶちこみ、となりにアルミホイルにつつんだジャガイモを一個放り込んでおく。その間にヴェルディの 「椿姫」からの一曲を歌い上げ、ゆきちゃんをウンザリさせ、刻んだキャベツとキャラウェイシードで簡単なザワークラウトを作る。じゃれて足にからみつく彼 女をずるずるとそのまま引きずりながら、ポークローストが出来上がる前にジャガイモをとりだす。スプーンでくりぬいてマッシュし、味をつけ、またもとに戻 してカリカリスキンのマッシュドポテトにするためだ。
そして、サンザひとの足に抱きついて噛んでいたゆきちゃんは、いつものようにわたしの料理中 に「もよおす」。オーブンからのよい香りにからみつく「あの匂い」にヘキエキして、すぐに片付けるのもいつものこと。キッチンの猫トイレは掃除には便利な のだが、料理中にはマコトに困る存在だ。
そうこうしているうちに、全て出来上がり。簡単なもんである。赤ワインをグラスに一杯いや実際には2杯、 そしてスライスしたローストには、あまり辛くないジャーマンマスタードを添える。固くなる一歩手前でオーブンから取り出したローストはまだまだジュウシィ だし、ホカホカのマッシュドポテトは、カリカリの皮とともに食べると実に美味しい。
1週間近く寝込んでいたせいで今週は忙しかったが、久しぶりにゆっくり料理を作って食事を楽しむと、眉間にきざまれていた皺もゆっくりと消えていった。

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