がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

新しくて、古い顔

日本出張が二ヶ月に一度はあったビジネス時代と違い、今は年に一度正月だけの東京里帰り。それも、正月ラッシュを避けて三が日が過ぎてからのことだ。しかし今年2006年は、正月二日まで実家で過ごしている弟の家族に会いたくて、元旦の朝バンコクを発った。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA宮崎に転勤になって腰をすえてしまった弟は、それでも毎月東京出張で実家に戻る。だから弟のブッチョウヅラは里帰りのたびに一度は見るが、ヨメサンと子供たちに会うのは久しぶりだ。それも、末っ子の長男は写真で見たことがあるだけ。

玄関をガラガラと開けて、「ただいまー、おめでとうございまーす」と叫んだら、きゃあきゃあと子供の声がして皆が出てきた。大人たちの間から二つの小さな頭が覗く。ひとつはまだアカンボのころから何度も会っていた長女。そして彼女の隣に、楽しいニコニコ顔が飛び出した。あ、と思った。

写真は見ていたし、母が初めて六ヶ月のその子に会ったとき、思わず泣き出した話も知っている。目の辺りが、亡くなった父にそっくりだ。ちょいと酒が入って上機嫌だったときの父は、やはりそんなふうに丸く上弦を描く目で本当に嬉しそうに笑った。
新しい顔が、その上の世代の特徴をぽんと引き継いでいる。

弟の歩く後姿は、あまり似ていないと思っていた父とびっくりするほどそっくりだし、母の三十年くらい前の写真を見ると、何だか今のわたしの顔とよく似ている。
血の繋がりっていうのはこういうことなんだ、と何だか改めて感激してしまった。

 

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