がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

総務のオネエサンの「軽い」シーザーサラダ

からりと晴れた日。雨交じりの寒い日が続いたあとの晴天は、さすがに嬉しい。こちらの「晴れ」はまさしく雲ひとつない真っ青な空で、はるか彼方までハッキリと澄み渡る。
いきなりそんな天気に恵まれたら、もう外に出るしかない。そして、有頂天になったわたしはもちろんカメラなんぞ忘れ、しかしSP50と書かれたローションだけは塗りたくって飛び出す。

途 中でスーパーに寄り今日の晩御飯の買い物をしていたら、偶然学校の総務のオネエサンに出くわした。「この辺りに住んでいるんですか?」と聞いたら、「いえ いえ、わたしの母がね」との答え。「母からの電話で、土曜日くらいゆっくり一緒に食事をしましょうよ、って言われたから、じゃあわたしがなんか本格的なも のを作るわ、ってことで、今ショッピング中」とほがらかに笑う。タテもヨコもとても大きな女性で、学校出勤の初日に初めてわたしに声をかけてくれたのがこ のひとだった。「なにを作るんですかあ」と聞いたら、「最初に軽くマッシュルームのスープ、そしてラムのローストにローズマリーポテト、ブロッコリーにク ルミのソース、そしてデザートはわたしの母の好きなチョコレートムース。」すごいな、ふたりでこんなに食べるのか、とビックリしたが、その美味しそうなメ ニューに喉がごくんと鳴る。今度必ずレシピを教えてね、ともちろん約束をとった。
そして「あなたは?」と聞かれ、昨日友達と暴飲暴食を楽しんだの で、今日はちょっと軽いサラダでも、と言うと、「シーザーサラダなんか簡単よ」と即座に勧められる。シーザーサラダというのは、レタス(またはこちら豪州 では、コスサラダという手のひらほどの丸い葉を持つ歯ごたえのよいサラダ菜を使う)に生卵、パルメザンチーズ、生クリームにマヨネーズなど、とても「軽 い」とは言いがたいソースを使うサラダである。「いえいえ、これは軽いほうのレシピ。低脂肪ヨーグルト、低脂肪サワークリーム、低脂肪マヨネーズ、白い油 を全部取り除いたベーコン、チーズ味をつけて焼いただけのクルトン、電子オーブン焼きのチキン、そしてアンチョビ。」
教えてもらった簡単なレシピで、今晩の夕食はもちろんシーザーサラダ。軽くて脂肪分もほとんどないが、本当に美味しい。マヨネーズをかけただけのおざなりシーザーサラダを出すレストランもあるが、このソースのほうがはるかに上等で味に深みがある。
偶然よいレシピを教えてもらったが、さすが料理が趣味と言い切るオネエサンだけある。こういうものだけ食べていたら、わたしの3倍はある「豊満ボディ」にはならないだろうが、「美味しいもの」が皆「軽いもの」とは限らないのが、食の世界の楽しさと哀しさなのである。

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