がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

退屈な夜にはマウスを持つ手を狙う

学校のある日の晩は、「同居人」は翌日の授業の準備のためコンピュータに向かうことが多い。1階のリビングでガスヒーターをつけてテレビなんぞ見るのは、ニュースと軽いバラエティの早い時間のみで、それもほんの1時間くらいだ。
だ から、ゆきちゃんは退屈している。「同居人」が学校に行っている間、当然デスク前の椅子に寝そべってぐっすり寝込んでいるから、夜なんか眠くないのだ。下 にいてもつまらないから、ちょっとデスクにひらりと飛び乗ってみる。ここで寝てもいいのだが、マウスとともに動く手にチョッカイを出すのもおもしろそう だ。なにしろ考えごとをしているときには、手についている指がいきなりトコトントンと拍子をとったりもするし。爪を出しすぎて「ばかもーん」と怒られると きもあるが、大抵はじゃれかかっても無視してくれる。だから、いくらごちゃごちゃと色々なものがあって寝る場所がなくたって、ここは大好きだ。そしてマウ スを持つ左手をじっと見て、少しでも動き出すのを今か今かと待っている。待っている。待っている。待っているんだから、早く動いてよっ。

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