バンコク映画館事情

いつもはかなり頻繁に行くのだが、今回バンコクの映画館で映画を見たのはこれが最初で最後になりそうだ。
自宅から「交通渋滞がなければ」という条 件つきで、車で5分のところにある映画館は、シネプレックスと呼ばれる総合ビルだ。メインはもちろん映画館とIMAXの立体三次元シネマだが、そのほかに もボーリング場、レストラン、カラオケ、ファストフード店などが並び、若者たちでいつも賑わっている。SFアクションだったら大画面ドルビーサラウンドシ ステムが鉄則なので、迷わず最新作ターミネーター3を選ぶ。日本に比べるとはるかに安い(約400円)。わたしが最後に東京でロードショーを観たのは、4 年ほど前のジョディ・フォスター主演「アンナと王様」だったが、上野のその映画館自体は情けなくなるほど古く、椅子もスプリングが壊れていたりして、音響 なんか30年前から替えていないような場所だった。
なにしろバンコクの映画館は、新しく座り心地のいい椅子で45度ほどリクライニングにもなる。ちゃんと飲み物を置くところも肘掛の脇についているし、快適で清潔だ。
と ころが、最近それ以上のセンセーショナルな「エギュゼクティブクラス」なるものが出現した。真っ赤なベロアのふかふかソファに毛布と使い捨てスリッパまで 添えられている。飲み物を置く小さなテーブルまでついているし、リクライニングはほとんど飛行機のファーストクラス並である。足なんかほとんどまっすぐに 伸ばせるくらいだ。それどころか、映画が始まるまでは入り口横の一段高い高級ドリンクテラスで無料の飲み物を運ばせ、係員が呼びにくるまで周りで仕方なく ぶらぶらとしている庶民を眺めることもできる。この高級感あふれるシート全て込みで約1650円。それでも日本の自由席より安いのだ。
ただしエグ ゼキュティブクラスと言えど、映画の始まる直前に流される国歌と国王のお姿には、敬意を表して立ち上がらなければならない。すでにリクライニングでゆった りしてしまうと、いきなり国歌が始まり、ひっくり返された亀のようにじたばたもがくことになる。タイは、不敬罪がまだ存在する国なのである。

(写真は、宣伝用に入り口に置かれたエギュゼクティブクラスのサンプル)

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