がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

再び、Kiri Japanese Restaurantへ

イギリスから友達夫婦が来ていて、「美味しい日本料理を食べてみたい」というので、彼らが帰る前にシェントンパークのKiri Japanese Restaurantに「おまかせ懐石コース」の予約を入れてもらった。このレストランにはわたしの誕生日ディナーで友達何人かと一緒に訪れたことがある。

シェントンパークの Kiri Japanese Restaurant

今回はもちろん「夏の懐石料理」とのことで、メニューは全く違うと言われていたので楽しみにしていた。

まず出てきたのが、食前酒としてのユズ酒。懐かしいユズの香りが心地よい甘いお酒だ。

続いて出てきたのは先付け。揚げたスナッパー(鯛の一種)、玉ねぎ、チャイブの甘酢仕立て。パプリカのグリル、シラス、鰹節としょうがに旨味だし。甘辛牛肉のアスパラ巻き。繊細な味付けで、白ワインがすすむ三品だった。

次のお椀はおすましで、柔らかい鴨、コールラビ、焼きネギ、そして茶そば。ユズの香り高いペーストが上に添えられている。ほっとする味。

お向の刺身は、シェフの選んだ新鮮な七種盛りだ。

別盛りで、アワビと帆立貝も添えられた。アワビなんて本当に何年ぶりだろう。美味しい。

お次は焼き物。ナナガイの焼き魚にウナギ。写真がぶれてしまっていて恐縮だが、炭の香りがほんのりとただようしっかりとした魚肉に、ここずっと食べたことがなかったウナギが美味しくて、思わず声が漏れた。

おしのぎは変わっている。自分で皿の上で混ぜるポテトサラダだ。マッシュされたポテト、赤玉ねぎ、セロリ、アボカド、枝豆。そして小さな木製スプーンにはユズの汁、自家製マヨネーズも添えられ、ピスターシオが散らしてあった。こういうミックスもあるのだなあという新しい発見。色々と混ぜてみると、複雑な味わいで楽しい。

メインは本当なら四つの中からひとつを選ぶはずなのだが、今回は小さめにして三品出してもらった。
まずは、イクラを載せた焼き鮭のユズぽん酢。

ヒラマサの煮魚。

そして、大海老を使ったエビ天丼。各種漬物も添えられていた。

ここまでで、わたしたち四人は持ち込みの白ワインを三本空け、さらに追加の白ワインを一本注文していた。酒豪揃いである。

水物は各種フルーツ。ミカンのゼリー、そしてラムレーズンのクッキーサンドだった。さっぱりとしていて、懐石の最後にふさわしいデザートだった。

パースでは正統派の懐石料理を出す日本料理店は少ない。オーストラリア人の好みに合わせ、大皿で現代風のフュージョン料理を出す店が最近では多くなってきた。それも嫌いではないが、やはり時々こうした繊細な味と色と器の共演を楽しみたい。
そして、Kiriではまたも期待を裏切らない料理でもてなされ、わたしたちは満足の笑みと心地よい酔いに身を任せて帰宅したのだった。

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