パスタマシーンでつくる「自家製」パスタの世界

冷蔵庫一掃の「残り野菜でつくる…」はわたしの料理とも言えない料理の定番だが、一週間に一度やらないと冷蔵庫はパンパンになってしまう。
ただザクザクと切ってチャーハンに混ぜたり、さっとローストしてオリーブオイルとレモン汁とディジョン・マスタードで和えたり、塩コショウで炒めただけで仔牛肉の薄いステーキに添えたり、色々と工夫はしている。

ところが去年パスタマシーンを買ったおかげで、パスタだけは自分でつくって残り野菜を合わせるなどということが増えた。このパスタづくりというのは、結構楽しいものである。いや、パスタ「づくり」などと言っても、これは粉と水と卵をあわせて容器にセットするだけだ。後はマシーンがしばらくこねてくれて、後は音が変わると「にゅるりにゅるり」と生パスタが小さな穴を通して出てくるのだ。いとも簡単。
そりゃセモリナ粉と普通の小麦粉の分量は試行錯誤の繰り返しだが、それでもできたてのパスタというものは非常に美味しい。

最初につくったのは極普通のスパゲッティーだった。コネが終わるとこんなふうに出てくる。適当なところでさっと切りながら出て来るのを待つのは…実はとても楽しい。

この生パスタを使って魚介類(イカ、海老、ムール貝)のスパゲッティーに。

次に試したのがラビオリ。こちらは丸い円に区切られた部分からニョロリと出て来るので…初めて見たときには「ポルノ映画に出てきそうな奇怪な形」にビックリしてしまった。

気を取り直してそれを伸ばし、冷凍の海老とほうれん草を解凍してみじん切り。その具で包んだのがこちら。大玉の卵を使ったため、何だか色がイヤに黄色いが味には問題なし。

そして、土曜日に新たに購入したのが、このカッペリーニ用のシェイピングディスクと呼ばれるパーツ。スパゲッティー用より穴が小さいので、細麺のカッペリーニ(別名エンジェルヘア)ができるのだ。

今晩はこれを使って、いつもの冷蔵庫一掃だ。ズッキーニ、ニンジン、ナス、赤ピーマン、マッシュルーム、アスパラガスなど、全部中途半端な量の残り野菜を全て荒く切り、天板に並べてオリーブオイルスプレーをかけてから180度で焼き色が着くまで焼く。
その間にトマトソースだ。パサータと呼ばれるホールトマトを潰した瓶が売っているので、トマトを潰す手間が省けるので最近はこれを使っている。鍋にオリーブオイルを熱し、潰したニンニク痛めて香りが出たらそのトマトソースを入れ、塩コショウしてひと煮立ち。
ローストした野菜を加えて、軽く混ぜる。

さて大鍋に湯をグラグラと沸かし始めたら、最後にカッペリーニをつくる。生パスタは茹で上がりが2−3分と早いので、最後にしておかないと他のことをやっている間にぐんにゃりしてしまうからだ。パスタはあくまでアルデンテなのである。

いい具合に細麺が出てきて、嬉しくなってしまった。ソースのからみがいいので、わたしはこのカッペリーニが大好きだ。
そして、出来上がったのが冒頭の「残り野菜のカッペリーニ」。ソースをかけて庭からむしってきたバジルの葉を散らし、パルミジャーノチーズを削る。

シンプルだけれどローストした野菜の旨みとカッペリーニがからまりあって、うん、美味しい。

(注:パスタというのはイタリアの麺類の総称で、スパゲッティーもラビオリもカッペリーニもその一種です)

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クリスマス・イブの小さなローストチキン、Mistkratzerli

「クリスマスイブは独り身にはツライ」そうだが、それはもちろん「イブは恋人の夜」みたいなイベントにしてしまった日本だけの話。オーストラリアでは12月25日のランチとそれに続く「ダラダラ飲み」が普通だ。家族だけだったり、親戚も呼んだり、または仲のよい友達と集まったり。スイスでも同じようなものだった。つまり日本の元旦みたいなものだ。イブは夜教会のミサに行くけれど、日本だって大晦日に神社やお寺に行くのだから、やることはよく似ている。

そんな12月24日の晩。
バンコクのレストランやホテルは、このときとばかり「クリスマスディナー」のコースメニューのみとなり、七面鳥やらハムやらの伝統的なメインを供する。

わたしもバンコクに住んでいたときには、毎年ビジネス仲間を沢山呼んで6キロ前後の七面鳥を焼いた。ただし、どんなに工夫してみても七面鳥自体はどちらかというと脂身の少ない大味の肉で、まあ年中行事に組み込まれたメニューだから仕方なく作っていたが、わたしはあまり好きではなかった。

だから、もう知るひともあまりいなくなったバンコクのクリスマスはチキンで祝うことにしている。
ところが先程いつものガイジン用スーパーに行ったら、丸ごとのものはとても小さなものしかない。ガイジンたちは皆ターキーの半身や大きなハムをを購入していて、鶏肉売り場になど見向きもしない。そのせいかな、と思ったが一応「これは雄?」と訊いてみた。頷くので、じゃあMistkratzerliだな、ということで2羽丸ごと購入。

ミストクラッツェルリというのは、スイスドイツ語で650グラム以下の雄鶏のことだ。普通、雄鶏はエサを与えても雌鶏のように大きく太ることはない。だから、スイスなどでは若いうちに出荷してしまう。これがミストクラッツェルリだ。小さいけれど、身は引き締まっていてなかなか味わい深い。

まず、詰め物だ…と思ったら、材料を何も買ってこなかったことに気づいた。今からまた外に出るのもめんどくさい。冷蔵庫にあるのは炒めようと思って買っておいたブナシメジが一袋のみ。あとは家にあるもので何とかなるだろうと、いつものように適当に作り始めた。

玉ねぎはみじん切り、ニンニクは薄くスライスして、たっぷりのオリーブオイルで炒める。キャベツも冷蔵庫にあったので、これも細切れにして入れてしまう。しんなりしたらシメジのざく切りを加えて塩コショウ、新鮮なタイムをぱらぱらと揉み入れ、レモンの皮をガリガリと削る。
冷めたらパン粉をふたつかみほど、そして本当ならパインナッツだがこれもないのでヒマワリの実で代用。卵をひとつ割り入れてざっくり混ぜたら、詰め物のできあがりだ。

鶏は洗って水を切り、指で胸の身と皮の間に指をいれてそっとポケットを作る。ここに先程の詰め物をポケットに穴を開けないように詰める。残った詰め物は丸めて野菜と一緒に焼いてしまう。鶏肉にレモンの皮、ナツメグ、パプリカ、塩、コショウをたっぷりと塗りたくり、オリーブオイルをかけて、最後にレモンとタイムを穴に詰めて出来上がり。鶏自体が小さいので、180℃のオーブンで1時間とちょっと焼いた。焼きあがったら、もちろんアルミホイルで包んで10分ほど寝かせる。

小さいほうのミストクラッツェルリは、焼いているうちに焦げた皮に大きな穴が空いてしまい、中の詰め物が丸見え。これは予期していなかった。普通の丸ごとチキンの皮はもっと厚いので、焦げても皮が破けることはない。
皮と身の間に詰め物を入れるのは、もっと味がよく染みてくれるからだ。普通はぽっかり空いた穴にぎゅうぎゅうと詰めるが、わたしはこちらのほうが好き。

あとは時間差でオーブンに入れた、ローズマリー風味のジャガイモとニンジン、ズッキーニ、エシャロットなどを付け合わせにした。

実はミストクラッツェルリを焼くのは初めてなので心配だったが、意外や意外、ジューシーに仕上がった。さすがに肉の量は少ないが、骨についた弾力のある肉の味が切り身で買う鶏肉より格段に美味しい。いい加減に作った詰め物も歯ざわりがよく、パン粉ばかりの市販の詰め物など買わないほうがいいと思った。

しかし、二人だったら一羽で十分。二つ目の丸焼きはそのまま残ってしまった。これは明日の昼にコールドチキンとしてサラダとともに食べよう。そのあとは、サンドイッチの具にしてもいい。

そして、最後にブッシュ・ド・ノエル。
買い物に行ったときに無性に食べたくなり、日系のベーカリーで求めた。

日本のケーキは甘さ控えめで、あっさりとしている。オーストラリアのこれでもかというほどの砂糖の量とは比べものにならない、懐かしい味だ。もっとも、オーストラリア人たちに言わせると「なんか甘くないね」となるので、これはひとそれぞれ、国それぞれなのかもしれない。

住宅街のクリスマス・イブはしんとしていて、時々通る車とバイクの音しかしない。今ごろホテルやレストランでは大騒ぎでクリスマスソングが鳴り響いていることだろうが、食後のキルシュをちびちびとやりながら、実はこのブログの名前ともなっている「がびのテラス」で風に吹かれるのも楽しいものだ。

がびんちの甘くないコールスロウ

初めてコールスロウを出会ったのは、大学生のときにケンタッキーフライドチキンを食べたときだ。美味しかったけれど、ずいぶん甘いサラダだなと思ったのだけは覚えている。

それからもう何度も食べているが、それでも「甘くない」コールスロウは食べたことがない。そう言えば干しブドウさえ入っているものもあった。
レシピを見ると、必ず砂糖が使ってある。オーストラリアのマヨネーズはそれでなくても甘いので、さらに甘くなるのは避けられない。まあ、マヨネーズと言えば、最近ではオーストラリアのスーパーでもキューピーマヨネーズが手に入るので、それしか買わなくなったけれど。

キャベツ自体が少し甘さを含んでいるので、わたしは家で作るときには砂糖を入れない。ただし、果物の清々しい甘さは好きなので、今晩のサラダにはリンゴを使ってみた。

キャベツは千切りではない。百切りぐらいか。千切りにするとキャベツの歯ざわりがあまりにも繊細になってしまうので、ここは豪快にザクザクと。ここに、薄切りスライスにしたリンゴも放り込む。百切りにしたら、混ぜているうちに細かくちぎれてしまうので、これもザクザクとリンゴだとわかるぐらいに刻む。

ドレッシングはサワークリームとそれより少し少ない量のマヨネーズ。そこに大さじ一杯の粒マスタード。ぎゅうと絞った新鮮なライムジュース。これだけだ。塩もコショウも入れない。ボウルにドレッシングを加え、よく混ぜ合わせたらあとは冷蔵庫で冷やしてなじませるだけだ。

その間に作ったのは、鶏のモモ肉のハーブグリルとジャガイモのロースト。モモ肉はハーブをたっぷりと振りかけてから塩コショウ、そしてフライパンで両面に焼き目をつけて、あとはジャガイモと一緒にオーブンで火が通るまで焼いた。

さて、コールスロウだが、必ず冷蔵庫で少しの間ドレッシングをなじませないと美味しくない。今回はタイで手に入る日本風の柔らかいキャベツを使ったが、オーストラリアのキャベツはとても身が厚くて固いので、こうしないとまるでキャベツというより沢庵の歯ざわりが残ってしまうのだ。

そして、冷蔵庫から出した冷え冷えのコールスロウをもう一度ざっくりと混ぜてから食べる。コールスロウにはこってりとしたフライドチキンなのだろうが、今回はハーブグリルだ。とろりと深みのあるドレッシングで和えたので、リンゴの清々しい歯ざわりとしんなりしたキャベツが美味しくて、ボウル一杯につくったコールスロウがあっと言う間になくなってしまった。