2009年3月アーカイブ

salsaverde.jpg昨日、「子羊肉の美味しいところをステーキにしてちょうだい」と頼んだのに、肉屋の新しいオニイチャンが冷蔵室から切ってきてくれたのは、どうも安すぎた。わたしも隣の友人と話していたので、ろくに見もせずに金を払い、うちに帰ってきて驚いた。

こりゃあランプと呼ばれるお尻のすぐ下の部分だ。どうも脂身が多すぎるし、筋も入っている。どうりで、安いわけだ。

わたしはどちらかというと、あまり脂身のない柔らかい肉が好きなんだけれど、オーストラリア人はどっしりと脂身が入っていて、じーっくりとミディアムどころかウェルダンに焼いても、まだ噛み切れるくらいのものが好きだ。仔羊の肉は脂身のところがちょいと独特の臭みがあるんだよね。うーん、どうしようかなと迷ったけれど、仕方がない、ソースとマリネでごまかすことにした。

わたしは、レモンがとんでもなく安い時、または友達が自分のうちの庭でどっさりとれたレモンを分けてくれた時に、大瓶にぎしぎしと詰めて作る。塩漬けにしたレモンは風味が増して、魚や肉の料理に凝縮された爽やかさをもたらしてくれるので、重宝しているのだ。ギリシャ料理には、特にこのレモンを使った料理が多い。

塩漬けレモンと言っても、使うのはしんなりとした皮だけだ。この皮をざく切りにして、御影石のモルターに放り込む。次は庭からむしってきたパセリ、これもざく切り。オリーブオイルをたらりとたらして、ペストルを握り締め、親の仇のようにがんがんと叩き潰す。塩コショウを加え、さらにがんがん。これを肉に塗りたくって、冷蔵庫で1-2時間ほどマリネにした。こんな下ごしらえをしなきゃあならないのも、安いラム肉のせいなんだ。
鉄製のフライパンをどっこらしょとおろし、オリーブオイルを薄くひいてステーキを軽く焼く。焦げ目が美味しそうについたところで、加減をみながらまだ真ん中が赤いぐらいのところで火からおろす。あとはアルミホイルに包んで五分寝かせれば出来上がりだ。

その間にサルサ・ヴェルデを作る。緑のソースという意味だが、今回はマリネの塩漬けレモンの味が濃いと思うので、チリを使わないイタリア風のサルサ・ヴェルデだ。
オリーブオイル、ニンニク、パセリ、バジル、そして大量のミントを全てモルターに放り込み、がんがんと叩き潰す。いい色になったところで、わたしのストレスも解消するというものだ。普通はミキサーを使えば簡単に出来るのだろうけれど、ハーブだけは叩き潰したほうが香りがいい。

そろそろアスパラガスの季節が戻ってきたようで、西オーストラリア産の太くて美味しそうなものがものがマーケットに並んでいたので、今日はそれもオーブンでローストにした。

食べやすいようにちょんちょんと切ったステーキにサルサ・ヴェルデをたっぷりたらし、歯ごたえのあるアスパラガスをほおばる。ちょいと手間をかけたら、安い肉もかなり満足できる味に仕上がった。

ジムに通い始めた。
と、親しい日本人の友人に言ったら、「何の事務?アルバイトなの?」と問い返された。本人はまじめに聞いているものだから、わたしが電話口でいつまでもひぃひぃと笑い続けているのに戸惑っていたが、ついに「ジムは事務じゃない」ことに気づき、自分もひぃひぃと笑い出した。

実は、「登録」だけは様々な土地で何回もしたことがある。根が無精者のせいか、長続きしなかっただけだ。いつも何かしら言い訳があり、2-3回行っただけで通わなくなった。もう少し若かったこともあり、自分の健康を過信していたフシもある。

十二月のこと、近所のショッピング通りを歩いていたら、いやに筋肉モリモリの女性に声をかけられた。
「健康のために、ちょっと運動してみませんか?」
女性だけのジムが新しくできたのだ、という。彼女の後ろには真新しい看板がかけられているが、ガラス張りの正面は美しいラウンジ風の造りで中は全く見えない。好奇心で入ってみたら、そのラウンジの後ろがジムになっていた。様々なマシンと四角い板が交互に置かれ、それが丸い輪になっていて順番に30秒ずつエキササイズを行うらしい。今はやりの「サーキット」というシステムだ。

普通のジムと違うところは、全員が女性でしかも一ヶ月に一度は全サイズ、血圧、体脂肪などを全て測定してくれることだ。化粧もいらない。若くてハンサムな男性を意識することもない。汗をかきながらハアハアフウフウと髪振り乱して運動しても、誰も関心を持たないし持つ必要もない。
トレーナーが輪の真ん中に常駐して、目を光らせている。間違った姿勢を矯正したり、だらりとこなしている女性にはハッパをかける。10分置きには首筋で10秒間脈拍を測るが、その脈拍数で年齢に合わせて力の入れ方を調節させるのも、トレーナーの役目だ。

これは本格的だと思い、十二月の時点ですでに入会金を払い、一月末に休暇から戻ってきてから実際に通い始めた。誰しも同じ思いとみえて、男性がいないという気安い雰囲気がただよっている。ダイエット目的のかなり太めの女性もいるし、年配の女性もいる。総じて、中年以上のひとたちが多いようだ。

エクササイズは、体の様々な部位を使うマシントレーニングと、四角い板の上で行う有酸素運動に分かれる。これを30秒ずつ交互にこなしながら輪を二周すると、30分。その後ストレッチングが5-10分。つまり、車を使って通っても、うちの玄関を出てまた玄関の鍵を開けるまで50分ほどだ。

こういうふうに汗を流すのは久しぶりだが、通い始めて1ヶ月以上、まだ「やーめた」に至っていない。実は、週に3回の運動がかなり爽快で、このごろ気分がすこぶるいいのだ。しばらく使っていなかった筋肉が目覚めたらしい。

「ねえ、昨日のテレビの***見たあ?」
「今パースに来ているサーカス、とってもおもしろいから、一度は見たほうがいいわよっ」
「新しくできた***ってタイレストラン、おいしいわよー」
「アカデミー賞授賞式の***のドレス見た?太めでもああいうドレスいいわね」
輪になっているから、たとえ運動しながらでもゴシップ話さえ飛び交う。新米のわたしはまだそんな余裕もなく、ただハアハアフウフウと息を荒くするのみだが。
vegicouscous.jpgクスクスを初めて食べたのは、その昔フランスに住んでいたころのことだ。
安いモロッコ料理の店だったと記憶しているが、たぶんラムの煮物らしきものと一緒に出てきたそれは、「まるで洗面器に入った鳥の餌」という印象をわたしに残した。さほど美味しいとは思わなかったとみえて、スイスに住んでいたときもタイに住んでいたときも、自分で調理したことはない。

頻繁に作るようになったのは、オーストラリアに住み始めてからだ。
最初は基本どおりのバターだの塩だのスープストックだけを加えた「付け合せ」だった。が、スーパーでクスクスを探していたら、色々なスパイスを加えたものが「インスタントクスクス」として売られている。一応パスタなのだから、なんか混ぜてもいいのではないか、と始めたのが「がび流ベジタブルクスクス」だ。改良に改良を重ねていったら、誰に出しても美味しいと言ってもらえるようになった定番だ。

使う野菜は、歯ごたえのいいものがイチバンだ。
ゴロゴロと大きめのものを入れるのもいいが、わたしは目の粗いオロシ器(こちらでは、これしかない)で、適当に切ったカボチャとズッキーニをがりがりと削ってしまう。和製のものでおろしちゃうと、全て「大根おろし」になるので、だめ。
セロリと玉ねぎは削らずに、うすくスライスする。あくまでも歯ごたえ、歯ごたえ。

フライパンにオリーブオイルを熱して、大量の「削り野菜」を軽くしんなりするまで炒める。その間にステンレスのボウルにクスクスを入れる。熱湯をそそいでフタをし、約5分。水分を吸い終わったところで、ほくほくとほぐす。ここに、炒めた野菜をどっさり加え、さくっと混ぜる。

これだけじゃあどうもたんぱく質不足なので、冷蔵庫にあったメカジキ(ソードフィッシュ)もコロコロに切って、ニンニク、クーミン、パプリカ、唐辛子とともに炒めて上に乗せた。ついでに、ギリシャ風こってりヨーグルトを上からたらりとたらして、気分はやはりエキゾチック、なんてね。
一年ほど前のことになるが、わたしは生まれて初めて「スピード違反」を犯した。
学校から帰る途中、スワン川に沿って数キロに渡る一直線の道路がある。ちょうど薄暗くなる時間帯で、車もほとんど見当たらない。結構見晴らしがよいのにもかかわらず、その黒いカメラが芝生のど真ん中に立っているのにうっかり通り過ぎてしまった。そして、フラッシュ。その時初めて、何が起きたのかに気づいた。残りの道のりを、自分に向かってありとあらゆる悪態をつきながら帰ってきたが、後のマツリである。普段ほとんど制限速度を超えたことさえないのに、ちょいとアクセルを踏みこんでしまった魔の一瞬だった。
そして数週間後、わたしのところへではなく、「わたしの車の前の持ち主」のところに西オーストラリア道路・鉄道企画省(交通違反はここの管轄だ)からの「スピード違反」宣告書が届いた。なんらかの手違いでそちらのほうに行ってしまったらしい。その「前の持ち主」というのがわたしの友達だったため、わたしもその手紙を見ることができた。

罰金額は日本円にして1万円ちょっと。60キロ制限のところ、わたしの速度は70キロを超えていたため、減点もされている。こりゃ、マズイ。10キロ以下のスピード違反だたら罰金も半額だし、減点もつかなかったのに。またしても、ありとあらゆるノノシリ言葉が口をついて出そうになったが、友達の前だったので何とか喉に戻しこむ。
請求書には、ご丁寧にわたしの写真までついていた。日没後のうすぐらい時間ではあったため顔はわからないが、顔から上半身のハンドルを握った「姿」は間違いなくわたしだ。金髪でわたしより10センチほど高い友達とは、似ても似つかない。

どちらにしても友達ではないことは確かなので、そのよし手紙に記して請求書を送り返しておいてくれるという。わたしの住所と運転免許証番号も加えて、わたしもサインまでした。そして、そのうち変更された請求書が届くだろうと待った。

ところが、気がついたらもう年が明けている。わたしのスピード違反は、一体どこに行っちゃったのだろう。まさか、またも手違いで「罰金不払い」の犯罪にまで発展してるんじゃないだろうか。そう思ったら怖くなり、友達に電話した。「それって、省のホームページで確認できるよ」
運転免許証番号と氏名を入力して待つだけで、簡単にそうした「その免許保持者の交通犯罪歴」がチェックできるのだ。で、目を皿のごとくして調べたが、わたしのデータに犯罪歴はなし、と出た。友達も調べたが、同じ結果だ。ということは、友達のデータからはそのスピード違反歴は抹消されているわけだ。しかしその抹消した時点で、普通はわたしの違反歴が出現するんじゃないのか。不思議だ。

コンピューター処理の問題なのだろうから、いつかは送られてくるのだろう。が、それにしても気の長い話だ。スピード違反を犯した本人でさえ、忘れちゃうほどの時間がたっている。住所まで記載した「実はわたしの違反でした」という手紙は、すでに一年前に送られているにもかかわらず、だ。請求書が送られてきたらもちろん黙って支払うし、減点も甘んじて受け入れるつもりだが、今でも首をかしげる毎日である。
わたしの勤める学校は私立お嬢様学校であるから、生徒たちは皆「制服」を着用しなければならない。
身ビイキかもしれないが、近くの女学校のものと比べても大変可愛らしくって、その制服着たさに入学した、なんてケシカラン子供たちもいる。セットで着用しなければならないのは、冬のベレー、そして夏のパナマ帽。セットなので学校の外では必ずかぶらなければいけないのに、十代の女の子たちはちょいと反抗してみたいのか、かぶっていない。皮膚ガンが世界で一番多い国、オーストラリアでは紫外線が日本と比べ物にならないほど強い。それにもかかわらず、夏のカンカン照りの下でもかぶっていない子たちがいる。

そして、周りは「家」というにはあまりに大きい邸宅が立ち並ぶ高級住宅街だ。つまり何代も続けて子女を送る家も多いわけで、必然的に、界隈にはウン十年前の卒業生たちもゴマンといる。学校には、やたらと「***制服姿の生徒たちの校外素行」に関してメールやら電話やら手紙やらが送られてくる。その中でも多いのが、「制服をウルワシクもきちんと着ているイイコチャン」だの「一目をひくほど着くずした、***の風上にもおけないワルイコチャン」だ。
別に着くずしているわけではないのだけれど、帽子をかぶっていない生徒たちはひときわ目立つ。というより、制服だけでこの学校の生徒だと明らかにわかるだけに、ひとつセットの一部が欠けていても人目をひくのだろう。

かくして、レッドカードならぬ赤いペナルティーカードを持ったセンセイが、登校時と下校時には学校の周りで目を光らせているというわけだ。これをもらっちゃうと、昼休みのゴミ集めという「屈辱的な罰則」が待っている。そして、あろうことか今学期はわたしにもそのオハチが回ってきた。去年は、のどかに昼休みの中庭見回りだったのに。

たかが帽子、と考えてはいけないところが、この「教師の義務」というやつだ。センセイがいないと見ると、すばやく帽子を脱いで背中のバッグにねじりこむ生徒が後を絶たないが、それを追いかけていってペナルティーカードを書く。めんどくさい仕事だが、習慣というのはオソロシイものだ。今朝、ちょうど大通りを学校に向かって車を走らせていたら、信号が赤信号に変わった。何気なく横をむいたら、おおバス停だ。そこにわたしの学校の生徒たちが五人、バスを待っていた。それも、誰ひとりとしてパナマ帽をかぶっていない。
ずずっと助手席の窓ガラスをおろし、「こらっ、バス停の***の五人っ」
生徒たちは皆、同時に凍りついた。
「帽子をかぶりなさいっ。今回は見逃すけれど、明日またかぶってなかったらウムを言わせず赤カードっ。顔はシッカと覚えたからねっ」」
運の悪い五人は同時にごそごそと帽子を取り出し、一斉にかぶった。まさか、赤信号でドまん前に停止した車からセンセイが顔を出すとは、思ってもみなかったらしい。同じくバスを待っていた大人が二人、隣でくすくすと笑いをかみころしている。

信号が青に変わったので、「どうせ、わたしがいなくなったらまた脱ぐんだろうが」と思いながらそのままアクセルを踏んだ。そして、しばらくしてからやっと「公共の場で職業病がでちゃった」ことに気づき、ガクゼンとしたのであった。ああ、センセイって哀しい。
lambkofta.jpg日本では様々な挽肉が買えるし、そういえば「合挽き」なんて便利なものもある。そのままオダンゴにできる鶏の挽肉だってある。魚もすり身になったものさえ、買える。
ところがひとつだけ、「存在しない」挽肉があった。仔羊の挽肉だ。こちらオーストラリアでは、肉と言ったらもう「牛肉」と「ラム(仔羊)肉」以外は考えられない。豚肉よりも仔羊肉の需要のほうが、はるかに大きい。

オーストラリアに来たばかりのころは、「ラムの挽肉ってどうやって食べるんだろう」と不思議に思っていたものだ。一度、和風ハンバーグに混ぜてみて失敗したことがある。ラムの臭みが残ってしまうのだ。

その後、ケバブの店でラムの「つくね」串のようなものを見て「ああ、中近東の料理に使うんだ」と初めてわかった。コフタ、という。様々なスパイスを加えてダンゴ上にするのだ。これなら、臭みもない。それからずっと作り続けて何年にもなるが、材料を変え、形を変え、メイン料理にも一口でつまめる酒のつまみとしても重宝している。

今日作ったのは、一番基本的な材料で作るコフタだ。

まず、庭からむしってきた大量のイタリアンパセリとミントを葉っぱだけちぎり、フードプロセッサーに。ざくっとみじんになったら、そこにニンニクを2-3片加え、涙が出る前に、すばやく適当にざく切りにした玉ねぎを一個分放り込む。本当は玉ねぎをゴリゴリとおろすんだけれど、一度これをやって涙と悪態が止まらなくなり、非常に痛い思いをした。それ以来、わたしはフードプロセッサーを使っている。臨機応変は、わたしの得意とするところ。えへん。

スパイスはシナモンとスマック、そしてわたしはスパイシーなのが好きなので、生唐辛子も半かけほど加える。最後にラム挽肉を加えて塩コショウし、フードプロセッサーのスイッチをつけたり切ったりして、だんだんと混ざっていくのを目で追う。

これは、串に刺して焼き鳥のようにバーベキューも美味しいんだけれど、週末でもあるまいし、めんどくさいのでそのまま細長いダンゴにして、鉄製のフライパンでグリルだ。

付け合せは、「中近東はギリシアから近いんだから」という適当な理由でもって、フェタチーズ、トマト、きゅうり、オリーブにミントをたっぷり加えたギリシア風サラダだ。冷蔵庫の中で忘れ去られそうになっていたカリフラワー半分も救助し、コフタを作っている間にオーブンでローストした。ただローストするだけじゃなく、今回はあくまで中近東風にスマック、オリーブオイル、そしてアーモンドのみじんを加え、塩コショウしてオーブンへ。こういう野菜のローストは、本当にそれだけでバリバリ食べたくなるほど美味しい。

たくさん作りすぎてしまったので、残りのコフタはお弁当のおかずにひとつひとつ包んで冷凍庫に放り込んだ。で、あとで「そういえば、ずいぶんたくさんニンニクを入れてしまったよなあ」と気づく。明日は、弁当箱を開けたとたん、ニンニクの香りがぷうんとスタッフルームを覆いつくすってことだ。
今日はこちら西オーストラリアの「労働の日」、つまり日本では五月一日の祝日メーデーと同じ意味を持つ祝日だ。正確にいうと三月一日だが、振り替え休日で月曜日が休みになったというわけ。つまり3日続けて休めたのだが、何のことはない、うちでゴロゴロしたり、友達と出かけたり、掃除をしたり、と普段と変わらぬ週末が一日延びただけだった。

ほとんどのレストランが閉まっているため、今日の昼食は繁華街の飲茶となったが、さすが街のど真ん中は人が多い。やっと駐車スポットを見つけて、ギーコギーコと切り返しを重ね、苦労して車を止めた(わたしは縦列駐車が大の苦手なのだ)。車から出てちょいと後ろを点検したら、後方の車から5センチと離れていない。げげ。ああ、危なかった。
それでも、時間通りに待ち合わせの飲茶レストランの前に行ったら、友達のひとりが手を振っている。その後ろに大きなポスター。「祝日のため、本日の会計には10%の祝日料金が加算されます」

ハワード政権のときに発令された新しい法律に、祝日の給料の増額というものがある。つまり、「祝日」の労働には、雇用主は50%割り増しの日給を支払わなければならない。今日はそんな祝日だから、もちろん繁華街で開いているレストランは皆一律に10%高くなっているというわけだ。
そんなに客が入るのを見込めない街はずれのレストランは、従業員全員に高い給料を払うくらいなら、と祝日閉店にすることが多くなった。そのおかげで、繁華街以外はほとんどの店が閉まり、しんとするくらい静かな日となる。

これは祝日だけで、週末には当てはまらない。週七日休みなしで開いている店では、日曜日は「休み」でもなんでもない、ただの開店日だかららしい。

そして、ここのところの不景気と豪ドルが意気消沈しているおかげで、原料もどんどんとあがっているらしく、どこのレストランでもメニューが新しい。つまり、値段が書き変えられているのだ。それプラス10%となったおかげで、数ヶ月ぶりの飲茶は皆が「ほう」と口をとがらすほど高価になっていた。

生活費が安い、ということがパースの住みやすさの筆頭に上げられていたころに比べると、ずいぶんと変わったものだと思う。
salmoncalpaccio.jpgスモークサーモンは、地元タスマニアから空輸されるものが美味しい。わたしがよくバンコクで買うのは真空パックされたスライスだが、これはあまり勧められない。どうもプラスチックの味が移ってしまっているような気がするし、真空で押さえつけて形まで変形しちゃっている。バンコクでは、スーパーのスモークサーモンは買うべきじゃないね。

こちらでは、わたしのよく行くパースの中国系魚屋で、大きなままのタスマニア産スモークサーモンを店でスライスして売っている。で、今日はこれを使ってワインのつまみを少々。

バージンオリーブオイルは普通のオリーブオイルより味にくせがあるが、サラダなどに使うときはこっちのほうが美味しい。これを多めに小さななべに入れて火にかける。ふつふつしてきたらケイパーを加え、一息置いて火をとめる。これでケイパーの味がマイルドになり、オイルに旨みが移るんだ。ここに新鮮なレモンをじゅうと絞って、ソースの出来上がり。
スモークサーモンを皿に並べ、薄く切ったフェンネルとパセリのざく切りを散らし、ソースをたっぷりと上からかける。

そのまま食べるのもいいが、ちょいと手を加えるとスモークサーモンはまた違った美味しさで楽しめる。ワインがとんでもなくすすんでしまうのが、ちょいと玉にキズではあるけれど。